現場で使用する鉄筋の99%以上は異形鉄筋である。
もし、あなたの現場が丸鋼であればこの記事は全く必要ない。
なぜなら
異形鉄筋のまさに「異形」である所が今回のポイントだから。
具体的には
異形鉄筋には「節」があるため直径や断面積が一定ではないから。
直径や断面積を使用する場面において凸凹の鉄筋をどのように
取り扱うのか?は普段はあまり関係ないかもしれないけど、
いざその必要性が出てきたときに混乱しやすいポイントである。
もしかしたら
あなたが検索エンジン経由でこの記事を読んでいるのであれば
正にその通りかも知れないね。
そこで
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」には、
このように記載されているので確認すると
P.288
(4) 異形鉄筋の直径及び断面積は,その異形鉄筋と同じ質量の丸鋼に換算したときの
直径及び断面積であり,これを公称直径及び公称断面積と呼んでいる。
と言うことで、公称直径と公称断面積は、丸鋼に換算した場合の
あくまで「平均値」であるため、使用できる部分と、
使用しない方が良い部分とに分けられる。
そこで
私が「使用しない方が良い」と感じる場面を1つお伝えすると
「鉄筋の納まりの検討」の場面である。
なぜなら
平均値であれば、実際に配筋される鉄筋のサイズより
「細い」径で検討してしまう恐れがあるからである。
具体的には
梁配筋と柱配筋の取り合いの「あき」や「かぶり」の
検討を行う場合には、梁の主筋は大抵の場合に鉄筋の
長手方向に2本存在する「リブ」を上下ではなく左右
に配置するように配筋する事が安定性の面から多いからである。
すると
上から平面的に見た場合の鉄筋の直径というのは「平均」ではなく
「最も大きい直径部分」になるからだ。
最悪の場合は「公称直径」で検討してると「あき不足」が
生じてしまうことも考えられるからである。
だから
先ほどの「最も大きい直径部分」の事を「最外径」と呼び
一覧表にまとめられている。
以下に一覧表をつけておくので参考にしてほしい。
スマホの人は見にくいかも知れないので必要に応じて
パソコンやタブレットで閲覧してほしい。
JIS G 3112:2010
表 4 異形棒鋼の寸法、単位質量及び節の許容限度節の高さ
呼び名 公称直径(d) 公称周長a)(l) 公称断面積a)(s) 単位質量a) 節の平均間隔の最大値b) 節の高さc) 節のすき間
の合計の最大値d)節と軸
線との角度最小値 最大値 mm cm cm2 kg/m mm mm mm mm D10 9.53 3.0 0.7133 0.560 6.7 0.4 0.8 7.5 45°以上 D13 12.7 4.0 1.267 0.995 8.9 0.5 1.0 10.0 D16 15.9 5.0 1.986 1.56 11.1 0.7 1.4 12.5 D19 19.1 6.0 2.865 2.25 13.4 1.0 2.0 15.0 D22 22.2 7.0 3.871 3.04 15.5 1.1 2.2 17.5 D25 25.4 8.0 5.067 3.98 17.8 1.3 2.6 20.0 D29 28.6 9.0 6.424 5.04 20.0 1.4 2.8 22.5 D32 31.8 10.0 7.942 6.23 22.3 1.6 3.2 25.0 D35 34.9 11.0 9.566 7.51 24.4 1.7 3.4 27.5 D38 38.1 12.0 11.40 8.95 26.7 1.9 3.8 30.0 D41 41.3 13.0 13.40 10.5 28.9 2.1 4.2 32.5 D51 50.8 16.0 20.27 15.9 35.6 2.5 5.0 40.0 注a),注d)における数値の丸め方は,JIS Z 8401 の規則 A による。
注a) 公称断面積,公称周長,及び単位質量の算出方法は,次による。なお,公称断面積(S)は有効数字 4 けたに丸め,公称周長(l)は小数点以下 1 けたに丸め,単位質量は有効数字 3 けたに丸める。公称断面積(S)=1004785.02d×公称周長(l)=0.314 2×d単位質量=0.785×S
注b) 節の平均間隔の最大値は,その公称直径(d)の 70 %とし,算出した値を小数点以下 1 けたに丸める。
注c) 節の高さは,表 5 によるものとし,算出値を小数点以下 1 けたに丸める。
注d) 節のすき間の合計の最大値は,ミリメートルで表した公称周長(l)の 25 %とし,算出した値を小数点以下 1 けたに丸める。ここでリブと節とが離れている場合,及びリブがない場合には節の欠損部の幅を,また,節とリブとが接続している場合にはリブの幅を,それぞれ節のすき間とする。
更に
最外径はこちらを参考にしてね。
呼び径 | 公称直径 | 最外径 |
D10 | 9.53 | 11 |
D13 | 12.7 | 14 |
D16 | 15.9 | 18 |
D19 | 19.1 | 21 |
D22 | 22.2 | 25 |
D25 | 25.4 | 28 |
D29 | 28.6 | 33 |
D32 | 31.8 | 36 |
D35 | 34.9 | 40 |
D38 | 38.1 | 43 |
D41 | 41.3 | 46 |
D51 | 50.8 | 58 |
つまり
鉄筋材料の公称経・公称断面積というのは異形鉄筋の
形状が均一ではない部分を丸鋼に換算した時の言わば
「平均値」であるので、鉄筋のあきの検討を行うときなどは
最外径で検討することをオススメするよ。
もしも
鉄筋のあきの検討を公称経で行っていた場合に、
実際に過密な鉄筋の状態であきが確保できていない。
という事態になったら大変だからね。
そんな時はこちら記事のようになっているよね。
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