セパレーターは型枠の両側のパネルを所定の間隔で保持する部材です。
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今回は始めに
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.447
6.8.5 型枠締付け金物等の措置
(1) 型枠緊張材(セパレーター)の主なものは、コーンを使用しないもの(丸セパC型)とコーンを使用するもの(丸セパB型がある。
セパレーターの例を表 6.8.4 に示す。
型枠取外し後、丸セパC型の場合はコンクリート表面に座金及び頭(ねじ部分)が露出する。頭はハンマーでたたくことにより、簡単に折れ除去できるが、座金の部分は残る。丸セパB型の場合はコーンを取り外した穴が残るが、ねじ部分は穴の奥となり穴をモルタル等で埋めれば、表面には何も露出しない。
コーンを使用する目的は、次のように考えられる。
(ア) 止水(地下外壁等で、セパレーターを伝わってくる水をモルタル防水等で防ぐ。)
(イ) 表面の平滑化 (防水下地、薄い仕上げ下地等)
(ウ) 金物を露出させない(打放し仕上げ面、断熱材埋込み面等)。
型枠締付け金物の頭処理に当たっては、これらのことを考慮し、部位別に適切な処理をする。
見え掛りで仕上げがない箇所(設備シャフトの中等)では、丸セパC型を用いるが、頭を折って除去した跡の座金部分に鉛・クロムフリーさび止めペイント1種(JIS K 5674)を塗り付ける。手の届きにくい部分ではスプレーを用いる場合もある。
(2) コーン穴の処理方法の例は次のとおりである。
(ア) 漏水のおそれのある地下外壁等では、丸セパB型を用い、コーンの跡の穴に防水剤入りのモルタルを充填する。さらに、確実な止水が必要な場合は防水工事を施す。
(イ) 防水下地や薄い仕上げの下地等の場合は、丸セパB型を用いコンクリート面と同一にモルタルを充填する。普通のモルタルでは垂れ下がったり、乾燥収縮するおそれがあるので、水量の少ない硬練りモルタルを用いることがある。
(ウ) 打放し仕上げ面等の場合は、丸セパB型を用い、穴はコンクリート表面よりわずかに内側にへこませて面内にモルタルを充填する。
コーンの穴埋めは、上記のように左官材料で行う方法と、既製品を用いる場合がある。主な既製品の例を次に示すが、使用する部位の目的にあったものを使用する。(a) 埋込みプラグ
プラスティック製のプラグをコーン穴にたたき込んで埋める。(b) 接着剤付きコーン (図 6.8.15 参照)
モルタルコーンの先端に接着剤カプセルがセットされており、これをコーン穴に取り付けて指で押し、接着剤カプセルを破壊して接着する。(c) モルタルコーン
モルタルコーンを、エポキシ系接着剤を用いて取り付ける。(d) 打込み式コーン (図 6.8.16 参照)
打込み式コーンは、防水機能をもたせたコーンであり、従来のコーンと異なり廃材が生じないのが特徴である。
断熱材の部分では、「標仕」19.9.2 [断熱材 打込み工法] (2)(オ)によるとされており 、そこでは、コーンの除去跡には断熱材を張り付けるか断熱材を充填するようになっている。表 6.8.4 セパレーターの例
品名 寸法図 ねじ径 丸セパ
B型w 5/16
w 3/8丸セパ
C型w 5/16
w 3/8丸セパ
BC型w 5/16
w 3/8
図 6.8.15 接着剤付きコーン (止水・はく離防止)
図 6.8.16 打込み式コーンの例
ここで
今回の議題は、セパレーターの「端部の形状」です。
そして
B型の様に、Pコンなどを使用する場合のようにモルタルなどで
穴を埋めた後のコンクリート表面がフラットになる場合と、
C型の様に、セパレーターの軸がコンクリート表面まで出ていて
型枠を脱型したときにPコンなどによる「凹み」が無い場合です。
具体的には
B型などを使用する仕上げは主に以下の通りです。
- クロスの直張り面
- 塗装面
- 外部のタイル面
- コンクリート打ち放し仕上げ面
C型などを使用する仕上げは主に以下の通りです。
- 基礎・地中梁
- 硬質ウレタン吹き付け面
- 軽量鉄骨など内側に新たに仕上げを設ける場合
ちなみに
セパレーターの一端がB型で反対側がC外部のというパターンもあります。
では
「あなたは型枠大工さんにセパレーターの形状を指示できますか?」
実際には
型枠大工さんも過去の経験上から、どの部分についてはどの形状、
という認識はあるとは感じますが、この指定というのは、
本来は現場監督であるあなたが決めるべきだと考えています。
なぜなら
型枠大工さんが
「面倒たがら全部B型でPコンでいけば問題無いだろう」
とした場合は、基礎やウレタン吹き付け面のPコンを埋める費用は
誰が持つのでしょうか?C型にしておけばさび止めスプレーを
吹くだけで済んだコストを、何倍も手間を掛けてモルタルなどで
1つずつ埋めていかなければ行けません。
これは
型枠大工さんに請求するには無理があると私は考えています。
大工さんは型枠のスペシャリストですから、専門外の指示については
あなたが調整しなければ結果としていけなくなりますからね。
つまり
セパレーターの選択は型枠大工さんの仕事?現場監督の仕事?
という面で行くと「現場監督の仕事」だと考えています。
あくまでも
型枠大工さんは「型枠工事」のスペシャリストであって、
現場全体のスペシャリストではありません。
今までの経験上で分かる場合もあるとは感じますが、
建物全体の仕上げを理解して適切な指示を出すのが
あくまでも「現場監督」であるあなたの仕事ですよ。
ちなみに
現場は全体を俯瞰的に見ることが出来れば、運営的に
間違った判断を下す確率は圧倒的に減ります。
コツはこちらにあるので合わせて確認して下さいね。
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