マンションをはじめ様々な施設にはバルコニーが存在します。
そして、バルコニーの手摺には大きく分けて2つの種類があります。
コンクリートでバルコニーの立ち上がり壁を形成されているタイプと、
アルミやスチールなどの金属製のもので立ち上がりを形成するタイプです。
ここで
コンクリートてすり場合は躯体の他は簡単な仕上げ工事ですが、
金属製手摺の場合は躯体でコンクリートの床部分を形成して、
立ち上がりは「後付け」というパターンが9割以上です。
そして
金属製手摺の大半はコンクリート部分へ「芯」となる部材を
埋め込む必要があるために、コンクリートを欠損させる必要があります。
更に
「欠損のさせ方」については、コンクリート打設時にあらかじめ
発泡スチロールと溶接アンカーがセットになった物をセットする場合と、
コンクリートが硬化した後にコアやアンカーなどで形成する場合もあります。
前者のあらかじめ欠損させるパターンのメリットとしては、
コアなどで余計な費用を使わないために、コストを安く抑えられる一方、
著しい断面欠損が発生するためクラックが非常に生じやすくエフロなどの
クレームにつながりやすいというデメリットもあります。
それから
後者の後施工の場合は、クラック等によるクレームが少ないが、
コストが掛かるというデメリットもあります。
更に
コアなどをあける場合に、鉄筋が干渉してしまうという危険性もあります。
だから
今回、私があなたにお伝えしたいポイントは、
「手摺が後施工の場合は、配筋時にコアの位置を確認して避ける」
という必要があるという事なのです。
鉄筋を切断してしまうと「新たなクレーム」につながる可能性が
非常に高いので、出来るだけ事前に潰しておきましょうね。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.256
a.手すり
コンクリート手すり(a)および金属製手すり(b)の一般的な配筋例である.手すりの設計など雑部設計では,その部分の単純な部材設計だけでなく,手すりなどが取り付く部材の安全性や施工性を検討するのが大切である.例えば,長く連続した廊下などの片持スラブでは,柱間隔ごとに補強小梁を設けたり,(c)のように片持スラブ先端に鉄筋かごを設けるなどして,支持する部材を補強し,鉄筋の定着および部材の接合を容易にするのがよい.
つまり
金属製手摺が取付くバルコニーの先端の施工方法と配筋の納まりについて、
ボイドで手摺のアンカー埋め込み部分をあらかじめ欠損させる納まりの場合は、
配筋としてはボイドを避けて配筋を行うので躯体時点でのトラブルは無いが、
コンクリートが硬化していく段階で欠損部分に対しての収縮に対する
クラックが発生してエフロなどのクレームを誘発しやすいです。
逆に
金属手摺を取り付ける前にコアやアンカーを打設して取り付ける場合は、
コンクリートがある程度硬化してからの作業のためにクラックなどの
クレームは少ないと感じるが、配筋とコアなどが干渉してしまう
という可能性はあるため打設前の配筋の位置管理が非常に重要です。
このように
躯体工事の中には「仕上げ工事を考慮」して施工すべきポイントが
山ほどあるのです。
そして
仕上げ工事や関連する納まりなどを理解せずに施工すると
「瑕疵(クレーム)」にすぐに発展するので注意が必要ですね。
また、設計図通りに施工をしていても問題になる事もあります。
詳しくは、こちらの記事で解説をしているので合わせて読んで下さいね。
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