コンクリート配合報告書の水の欄に「回収水」
と逆にされていることがあります。
「回収」するだけあって何かに使用した後に回収した物だと想像出来ますし、
コンクリートの製造で使用するのだから工場内で回収できる水なんだろう。
という想像まで出来るかも知れません。
そこまで言うと、今回の記事はすぐに終わってしまいそうですが、
あながち今までの推理は間違っていません。
では
生コン工場で回収される水って一体何ですか?
と言われたら、あなたは想像することが出来ますか?
実際に
生コン工場では、コンクリートを製造するのに大量の水を使用します。
1m3あたり185kg以下という制限がありますが、例えば
100m3コンクリートを製造するためには18t必要なのです。
ただし
先程の18tの水については、コンクリートの中に混ぜられて
コンクリートミキサー車によって各現場に運ばれていきます。
こちらの水たちは各現場で消費されてコンクリートミキサー車は
「空」で帰ってくるはずです。
すると
他に、何に水を使用して「回収」しているのでしょうか?
実は
正解は「スラッジ水」と呼ばれる生コン工場のコンクリートミキサーや、
生コン運搬車の洗浄水を回収し、骨材を除去した水のことを
「回収水」と呼ばれるのです。
コンクリートを製造するのにも大量の水を使うのですが、
空で帰ってきたミキサー車に次のフレッシュなコンクリートを
積むために一旦洗浄するのにも大量の水を使用しているのです。
だから
洗い水のうち使えそうな部分を次のコンクリートで使うのです。
飲料水ではないので、水としての性状であれば良いのですからね。
なぜなら
大量の水を使用するので、地下水とか回収水とか上水道ではない水を
使っているのがほとんどなので、水道代を掛けなくても良いのですから。
コストを出来るだけ掛けずに品質を保証していくのは商売ですからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.378
(エ) 水の使用基準等については、JIS A 5308 附属書C(規定)があり、の抜粋を次に示す。
*** JIS A 5308: 2019 ***
附属書C (規定) レティーミクス卜コンクリー卜の練混ぜに用いる水C.1 適用範囲
この附属書はレディーミクス卜コンクリートの練混ぜに用いる水(以下、水という。)について規定する。C.2 区分
水は上水道水,上水道水以外の水及び回収水に区分する。C.3 用語及び定義
この附属語で用いる主な用語及び定義は。箇条3によるほか次に
よる。C.3.1 上水道水以外の水
河川水、湖沼水、井戸水、地下水などとして採水され、特に上水道水としての処理がなされていないもの及び工業用水。ただし回収水を除く。C.4 上水道水
上水道水は.特に試験を行わなくても用いることができる。C.5 上水道水以外の水
上水道水以外の水の品質は。C.8.1の試験方法によって試験を行ったとき,表C.1に示す規定に適合しなければならない。表C.1 上水道水以外の水の品質
項目 品質 懸濁物質の量 2g/L以下 溶解性蒸発残惚物の量 1g/L以下 塩化物イオン(Cl-)量 200mg/L以下 セメントの凝結時間の差 始発は30分以内、終結は60分以内 モルタルの圧縮強さの比 材齢7日及び材齢28日で90%以上
C.6 回収水
C.6.1 品質
回収水の品質は.C.8.2の試験方法によって試験を行ったとき.表C.2に示す規定に適合しなければならない。ただしその原水はC.4又はC.5の規定に適合しなければならない。
なお,スラッジ水を上水道水,上水道水以外の水,又は上澄水と混合して用いる場合の品質の判定は,スラッジ固形分率が3%になるようにスラッジ水の濃度を5.7%に調整した試料を用い,C.8.2.4及びC.8.2.5の試験を行う。表C.2-回収水の品質
項目 品質 塩化物イオン(Cl-)量 200mg/L以下 セメントの凝結時間の差 始発は30分以内,終結は60分以内 モルタルの圧縮強さの比 材齢7日及び材齢28日で90%以上
C.6.2 スラッジ固形分率の限度
a) スラッジ水を用いる場合には,スラッジ固形分率が3%を超えてはならない。
なお,レディーミクストコンクリートの配合において,スラッジ水中に合まれるスラyジ固形分は水の質量には含めない。b) スラッジ固形分率を1%未満で使用する場合には表10(レディーミクストコンクリー
卜配合計画書)の目標スラッジ固形分率の欄には”1%未満”と記入することとし,表11のスラッジ固形分率の欄にも”1%未満”と記入する。この場合,スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し,かつ,濃度の管理期間ごとに1%未満となるよう管理しなければならない。
なお,このスラッジ固形形率を1%未満で使用する場合には,スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。
つまり
コンクリートの配合報告書に記載している「回収水」と言うのは
「スラッジ水」と呼ばれる生コン工場のコンクリートミキサーや、
生コン運搬車の洗浄水を回収し、骨材を除去した水の事です。
他にもコンクリートを製造するために使用する水は上水道よりも、
地下水など水道料金がかからないように工夫して製造しています。
このように
生コン工場は製造するにも、洗浄するにも大量の水を使用するので
コストに関して出来るだけ無駄にならないように工夫しています。
そこで
現場で活躍するあなたにも「今日から出来る工夫」もあるので
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