「型枠工事が躯体工事において重要!というポイントは何ですか?」
と言われたらあなたは即座に答えることが出来ますか?
型枠工事は躯体工事の中でも仕事の優劣で今後の工事に大きく影響する工種です。
具体的には
- 型枠の精度が悪いと、仕上げの製品が図面通り納まらない
- 型枠の精度が悪いと、打ち放し仕上げなどであれば単純に出来映えが悪い
- 型枠のせき板の品質が悪いとコンクリート表面の仕上げとして要求される品質を満たさない
- 上記のように精度や品質がが悪いと、修正を行うのに多大なコストが掛かる
- 型枠の締め固めや緊結材の配置やピッチが不適切だと崩壊事故につながる
- 型枠材の転用計画が適切に行わなければ工程に影響を及ぼす
などなどありますが、コンクリート工事や鉄筋工事と違うのは、
工事そのものが品質として残るわではない一種の「仮設」的な役割にも
関わらず、仕上げも含めた建物の品質全体に多大な影響を及ぼすという点です。
また
型枠工事の工法は沢山あって一般的な工法を分類すると下図の通りです。
図 6.8.1 適用部位別の合理化・複合化・システム化型枠工法
この中で、私が躯体工事全体としての品質上気を付けておくべき
ポイントとして上げたいのは「デッキスラブ」などの「捨て枠」です。
なぜなら
「捨て枠」はコンクリートを打設した後に「脱型」しないから、
コンクリートの打設後の品質を直接確認することが出来ないからです。
これは
「見えないんだったら別にいいや!ラッキー!」
と言うわけではなく、
逆に「見えない箇所」で1つでも問題があると
「他の箇所でも同じような問題があるか?」について
実際に調べる事が非常に困難だからです。
例えば
デッキスラブに後打ちアンカーを打設したらあちこちでスカスカだった。
というトラブルが工事監理者さんの耳に届けば、
当然ながら「他の箇所は?」と問われる事になりかねません。
その時に
「あなたはどの様な行動を取りますか?」
だから
「あ~、それは面倒くさいね…」
と、あなたが感じたのであれば「見えない所こそ」しっかりと
品質を管理した方が良いですよね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.423
6.8.0 概要
(1) 鉄筋コンクリート造の建物の出来ばえは躯体コンクリートの精度によって大きく左右され、さらに、この躯体は型枠工事の優劣によって決まるといっても過言ではない。このように型枠工事は全ての工事の基本ともなるので綿密な計画と慎重な施工が肝要である。
(2) 型枠は、材料や工法の開発に伴い、合理化、複合化、システム化が進められている。これは、建築工事の大型化・ 高層化、熟練労働者の不足、工事の機械化、地球環境の保護等の社会状況の変化に対応し、品質の確保、工期の短縮、コスト低減等を目指したものである。
躯体工事において、型枠の占める割合は高く、品質、工期、コストの上で効果の大きいものが多いので、施工者の提案については、設計担当者に要求機能を確認し、実績等を考慮して採用の可否を検討する。
型枠の主な合理化・複合化・システム化工法を適用部位別に整理すると図 6.8.1 のようになる。
なお、図 6.8.1 の「打込み型枠」及び 「捨型枠」はコンクリート表面の状態を確認できないため、コンクリートに豆板、空洞、コールドジョイント等が生じないように、調合、打込み、締固め等に留意し、密実なコンクリートとすることが大切である。
(3) 施工者が行う型枠計画は、他の工事との関連、納まり、施工性等を検討したうえで、材料 ・工法を選択し、施工計画及び施工図を作成する。
(4) 型枠計画は、安全で、かつ、要求品質に見合った精度で施工する工法を採用するという観点でチェックする。
図 6.8.1 適用部位別の合理化・複合化・システム化型枠工法
つまり
型枠工事の役割としては、躯体コンクリートの精度に大きく影響し
鉄筋のかぶり厚さや断面寸法、仕上品との納まりによる出来栄え
などに品質面の要求水準を確保する為に非常に重要な工種です。
型枠工事の種類については、コンクリート用合板の他にも
鋼製のデッキスラブやシステム型枠など種類があるので、
用途に応じてコストと品質のバランスを見ながら採用することを
お勧めします。
また
デッキスラブなども同様ですが、「捨て型枠」と呼ばれる
コンクリート打設後に「脱型をしない型枠」という場合には、
コンクリートの品質を直接確認する事が出来ないので、
「ラッキー」では無くて、普段より「慎重に」施工する
ことが大切なので注意して下さいね。
以外と
普段は「見えないから良いや」と考えている所に限って
何らかの形で見えてしまうと、「大問題」が潜んでいる
という可能性は経験上多いです。
だから
こちらの「眼」を養ってトラブルを回避するように
毎日の現場の巡視時に確認して下さいね。
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