今回の記事は、鉄骨工事の経験がなかったり、私には想像力がない。
という方には、少し対応が難しい話かもしれません。
まず
あなたは鉄骨梁の上フランジのボルトが何故外側にナットが来るように
施工しているか理由を答えることができますか?

「ボルト締めがやりやすいから」
と答えた人は50点です。確かにそれもあるでしょう。
しかし
施工性の良さだけを考えるなら、下フランジも上からボルト締め
が出来るように差し込めば良いのに、下フランジのナットが全て
上を向いている訳ではありません。
では
残りの50点は何なのか少し想像力を膨らませてみましょう。
・
・
・
・
・
答えは
ボルトが締まらないから(締まらない可能性があるから)です。
具体的には、下の写真と図を見て下さい。


こちらのように、ボルトの軸部が干渉して、シャーレンチが
ウェブのボルトにセットできない可能性ああるからです。
言われてみれば納得だけど、自分でいちから気付くとなると
なかなか難しいものだと私は考えています。
では
あなたが今もしくは今後鉄骨工事でボルト接合の現場に
配属された場合には、どこに気をつければ良いのでしょうか?
まず
普通のH鋼などは、気にしなくても先程の図のように、施工時に
ボルトの向きを変えれば対応できるので問題にないです。
気をつければいけない場面は、「直交していない接合部」や
直交していないクロスHの柱の接手とかが該当します。
ここからは想像力の世界ですが、1つずつボルトを頭の中で
差してみて、シャーレンチを取付てみて下さい。
その時に、先述した他のボルトが入っている状態で想像して
みてもらうと問題点に気が付きやすいです。
ここで
シャーレンチは入らないけど、トルクレンチなら入るという場合は、
施工業者と相談して、方針を決めて、工事監理者さんに相談を
するという方法で対応できると考えています。
こればかりは、実際の現場でケースバイケースなので、
あなたの「想像力」に私は期待しています。
四角ではない建物を施工するときは
「監督さ~ん。これボルト締めれないけど、どうする?」
と言われてから慌てないようにね。
最後に
「建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。
P.541
(b) 部材が接近している場合には、締付け機器が入らないなど、トルクレンチのような長い締付け機器が動かせないことがある (図 7.3.2参照)。
図 7.3.1 直交するボルトの締付け
図 7.3.2 締付け機器の大きさの検討
つまり
鉄骨工事において、ボルト接合が出来ないパターンは、文字で書くと
- ボルト孔が直交してかつ近接していてボルト同士が干渉もしくはレンチが入らない場合
- 部材同士が直工(鋭角に接合)および近接している場合でレンチ等が入らない場合
などがありますが、鉄筋コンクリート造に比べ、形状の自由度の高い鉄骨造では
実際にボルト接合で干渉してしまうパターンは意外と多いと感じています。
だから
あなたが「怪しいな」と感じた所は、想像力を働かせて頭の中で
ボルトを入れて、そして締めてみることをオススメします。
「そんな想像力なんて無いよ!」
とキレ気味になっているかも知れませんが、実は建設業で仕事を続けていくには
「想像力」というのは非常に重要な要素となるので、少しずつでも良いので
普段から意識してみる事が「建築のプロ」になるための近道にですからね。
↓ ↓ ↓






































この記事へのコメントはありません。