鉄骨工事はmm単位の精度が求められる基準が沢山あるけど
現場はそんなに設計図通りには行かないよ!
と思っていませんか?私は思っています。
なぜなら
現場では、どうしても測量誤差などの施工誤差が生じるので
なかなかピッタリには納まらないからです。
ピッタリ誤差が0mmだと、逆に何か間違っているのでは?
と考えてしまうくらいだからです。
でも、そうは言っても「何だか上手く取り付くもんだな。」
と思うことも中にはあるのです。
ちょっと脱線してしまいましたが、今回はボルトのクリアランス
の話をしたいと思います。
鉄骨の建方で、次々と鳶さんが鉄骨を組み上げていくのですが
その時は仮ボルトを入れて、柱と梁をつなげていきます。
その時に、いつもこう思います。
「意外と、上手く組みあがって行くもんだな」
というのは
ボルトのクリアランスというのは、高力ボルトで+2~3mm
普通ボルトで+1mmとほとんどクリアランスがないのに、
空中で重たい鉄骨の柱と梁にボルトが通るというのは
なかなかの精度だなと感心するからです。
冒頭のそうは言っても「何だか上手く取り付くもんだな。」
という現象の1つでもあります。
実際には
まだ、組立途中なので、それぞれの建て入れ精度がでている
訳ではなく、もしかしたら無理やりボルトを入れに行っていて
若干柱は斜めになっているけど、梁が取り付くとそうなる。
みたいな事が起こっている可能性は0ではないですが、
それぞれの鉄骨の寸法が合っているのであれば、柱と梁は
クリアランスが少なくてもボルトはかなりの確率ではまります。
また
クリアランスが1mmでもあるとまずいのが、柱のジョイント部です。
溶接で接合する場合も、周りのエレクションピースはボルト結合です。
もしも
柱のボルト径とボルトのクリアランスがあると、上に取り付く柱の
自重でクリアランス分上部の鉄骨が下がってしまいます。
そこで
柱のジョイント部にはドリフトピンをボルト径に差して
他のボルトを締めて柱を固定します。
ドリフトピンはボルト径と同じ径で作られているので
ドリフトピンを差すと鉄骨柱はそれ以上下がることなく
位置が固定されるのです。
ドリフトピンの入っていないボルトを締めた後は
ハンマー等で叩いて外すのです。
最後に
「公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.96
(3) ボルトの孔径は、表7.3.2による。ただし、母屋又は胴縁の取付けに使用する普通ボルトの
孔径は特記により、特記がなければ、ねじの呼び径+1.0mmとする。(4) 溶融亜鉛めっき高力ボルトのめっき前の孔径は、表7.3.2の高力ボルトによる。
表 7.3.2 ボルトの孔径 種類 孔径(mm) ねじの呼び径 d1(mm) 高力ボルト d1+2.0 d1<27 普通ボルト d1+0.5 ─ アンカーボルト d1+5.0 ─
P.539
(3) 「標仕」7.3.2(1)では、高力ボルト、普通ボルト及びアンカーボルトの縁端距離、ボルト間隔、ゲージ等は特記事項となっている。参考として、高カボルト及び普通ボルトのゲージ、 ボルト間隔、最小縁端距離等の標準を(エ)から(カ)までに示す。
(ア) ボルトの表示記号の例を表 7.3.1に示す。
表 7.3.1 ボルトの表示記号の例 ボルトの種類 ねじの呼び M12 M16 M20 M22 M24 高力ボルト(F10T、S10T) 溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T) ー 普通ボルト
(イ) ボルト孔の径を表 7.3.2 に示す (「標仕」表 7.3.2 参照)。
表 7.3.2 ボルトの孔径 (単位 mm) ボルトの種類 ねじの呼び M12 M16 M20 M22 M24 高力ボルト(F10T、S10T) 14 18 22 24 26 溶融亜鉛めっき高力ボルト(F8T) - 18 22 24 26 普通ボルト 12.5 16.5 20.5 22.5 24.5 (注) 母屋、胴縁類の取付用ボルトの場合、ボルトの孔径は特記により、特記がなければねじの呼び径 +1.0mmとする。
(ウ) 高力ボルトの締付け長さに加える長さを表 7.3.3 に示す (「標仕」表 7.2.2 参照)。
表 7.3.3 高力ボルトの締付け長さに加える長さ (単位 mm) ねじの呼び M12 M16 M20 M22 M24 JIS形 25 30 35 40 45 トルシア形(注) - 25 30 35 40 (注) 国土交通大臣認定条件による。
(エ) 縁端距離及びボルト間隔を表 7.3.4に示す。
表7.3.4 縁端sg雌及びボルト間隔 (単位 mm) ねじの呼び 縁端距離 e ボルト間隔 p M12 40 60 M16 M20 M22 M24 45 70
(オ) 千鳥打ちのゲージ及びボルト間隔を表 7.3.5 に示す。
表 7.3.5 千鳥打ちのゲージ及びボルト間隔 (単位 mm) ゲージ g 千鳥打ちの間隔Pt ねじの呼び M12,M16,M20,M22 M24 35 50 65 40 45 60 45 40 55 50 35 50 55 25 45 60 - 40
つまり
普通ボルトの孔径は特記がなければねじの呼び径+1.0mmしかありません。
高力ボルトの場合でも径によって2.0~3.0mmのクリアランスです。
大規模な建築物でも鉄骨の接合部では細やかな精度が要求されます。
しかし、1つ1つの精度の積上げがないと建物が成立しないというのが
特に鉄骨工事の精度を見ていると感じますね。
また
現場の大小問わず精度の高い現場での品質管理を行うには
間違いのない図面管理と図面の意図を汲んだ適切な現場管理が
必要となってくるのは言うまでもないのですが、意外と現場で
見かけるのが、図面を理解していない現場監督さんです。
ドキッとしたあなたはこちらの記事がオススメですよ。
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