前回は鉄骨の工作図のチェックポイントの5~7をお伝えしました。
今回は続きをお伝えします。
8.仮設工事との関連
鉄骨に取り付ける付属物は本設で使用するものだけではありません。
鉄骨を吊り上げる時に使用する「吊ピース」などの仮設物も
工作図をチェックするときに是非確認しておいて欲しいです。

また、鉄骨柱を上る為のタラップ用の金物、親綱を取り付けるためのフック
など、仮設物としては他にもあるので、あなたの中で可能な限り、
鉄骨が組みあがった状態をイメージしてみて、動き回ることを想像して
「ここが危ない」
「ここに行けない」
「どうやって作業する?」
という箇所を事前に1ヵ所でも多く見つけて対応しておくことが
実際に施工するときに、効率が雲泥の差で違うので、
まずは自分の頭で想像してみて、あとは知識のある人に
相談してみると良いですよ。
また
鉄骨の上にクレーンを設置する計画だと、鉄骨を補強しないと
倒壊してしまう恐れがあるので、構造担当者と相談して下さい。
SRCの建物の場合も、鉄骨だけで自立しない可能性もありますので
同じく、構造担当者と相談して下さい。
9.設備工事との関連
先程は、仕上工事のと関連の話をしましたが、設備工事との
調整をとっておくことも非常に重要です。
特に、鉄骨を貫通するスリーブの位置、数、大きさについては
しっかりと事前に打合せておかないと、後から増やせません。
そうなると、鉄骨梁の下に配管を通すことになり、ブサイクな
下がり天井が出来たりするので、設計者に怒られてしまいます。
そこで
設備担当者が注意すべき問題ですが、あなたにも覚えておいて
欲しい内容としては、配管に保温材や、耐火材が巻いてあるので
管径だけを考慮して貫通孔のサイズを決めてはいけない。
ということです。
必ず配管に被覆されているものを含めたモノを管径として
貫通孔のサイズを決めておいて下さいね。
最後に
「建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。
P.537
(エ) 工作図は、軸組図・伏図・柱詳細図・梁詳細図・継手基準図・溶接基準図等で構成し、記載内容は次のとおりである。
(a) 鉄骨部材の詳細な形状・寸法・材質・製品数量・製品符号
(b) 溶接及び高力ボルト接合部の形状・寸法・ボルトの種類・等級・継手符号
(c) 設備関係・内外装関係付属金物、仮設金物、コンクリート関係・鉄筋関係孔、ファスナー類(オ) 工作図の検討事項は、次のとおりであり、工場製作や工事現場施工においてトラブルが生じないように十分な検討を行う。
(a) 柱・梁・工場組立部材等の符号(建物の通り符号を利用する場合や通し番号による場合が多い。)
(b) 建物の基準線と鉄骨の基準線との関係
(c) スパン(梁間)、階高等の基準寸法・基準線と柱・梁・工場組立部材等との位置関係、床からベースプレート 下端までの寸法
(d) 柱・梁・工場組立部材等の形状・寸法及び構成部材の形状・寸法(e) 各部の部分的詳細
① 柱と梁の取合い
② ベース回りの納まり
③ スリーブ貫通部の補強等、また、隣接部材の接近のために、作業空間が狭く、ボルト締付け・溶接等の作業が困難な箇所の発見と処置(f) 接合部の添え板(スプライスプレート)・フィラープレート・クリアランス等及び次の①から④の事項に関する設計図書との照合
① 高カボルトの種類・径・本数・ゲージ・ボルト間隔・最小縁端距離等
② 溶接の種類・開先形状・大きさと寸法・長さ・位置等
③ アンカーボルトの種類・径・長さ・本数・位置等
④ SRC 造の場合の鉄筋工事との関係
また、高力ボルト及び普通ボルトの縁端距離等を確認する場合は、(3)(エ)から(カ)を参照する。(g) 他の建築工事との関係
① 内外装材料との関係
② 建具類の埋込み金物の納まり、特にフロアーヒンジ・シャッターケース等
③ コンクリートの充填性を考慮した空気孔の設置等
④ SRC 造の場合の鉄筋工事との関係(h) 仮設工事との関係
① クレーンの設置、重量物の積載、風、地震に対する倒壊防止、土圧に対する支持等のために鉄骨を補強する場合は、設計担当者と打ち合わせる。
② 安全タラップ・吊りピース・足場用ピース・建入れ直し用ピース・親綱掛け用ピース等の仮設用金物の必要性
③ ウェブ板厚が薄く、溶接・運搬・建方の際に変形のおそれがある場合、溶接組立上必要な場合又は施工上タラップとして必要な場合を除き、原則としてバンドプレートは取り付けない。(i) 設備工事との関連
① 主に、スリーブ位置、大きさ及び間隔の確認をする(構造耐力上の制約についても確認する。)。
② ダクト、配管等の系統を確認し、スリーブの数、大きさ等が不足しないようにする。
③ 鉄骨の近くで交差する配管等の系統は、保温被覆材を含めて、施工性を確認する。
④ 排水管等、一定の勾配を必要とするもの、柱・梁の近くで方向を変えるものは、特に注意する。
⑤ ウェブ貰通孔板厚部分の耐火被覆材の厚さと保温被覆材を考慮した配管径の関係を確認する。
つまり
鉄骨工作図のチェック時に確認すべき9つのチェックポイントは以下です。
- 柱・梁・工場組立部材等の符号
- 建物の基準線と鉄骨の基準線との関係
- スパン(梁間)、階高等の基準寸法・基準線と各部材等との位置関係
- 柱・梁・工場組立部材等の形状・寸法
- 各部の取合い部分の納まり
- 接合部(スプライスプレート等)に関する設計図書との照合
- 他の建築工事(内装工事等)との関連
- 仮設工事との関連
- 設備工事との関連
いづれにしても鉄骨は工場で製作してくるので、間違っていたから
と言って現場で簡単に修正が出来るものではありません。
しかも
他の工事との取合い部では鉄骨が基本的に基準になるので
1つの間違いが、仕上げ工事にも大きな影響を与える事にも
なりかねませんので、最新の注意を払ってチェックしていきましょう。
ちなみに
後工程の仕上げ工事の製作図は、こちらの記事を参考に
チェックすると間違いが劇的に減少するのでオススメですよ。
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