柱や梁を始め全ての構造部材は構造計算によって成り立っているが、
端部などの納まりをよく検討しないと「絵にかいた餅」になりかねない。
そして
構造設計者さんの設計意図を考慮せずに現場を進めていくと
取り返しのつかない大きなミスにつながる事もあります。
そこで
今回から数回に分けて柱や梁の幅などの決定根拠や現場で
変更したい場合の注意事項などをお伝えしていきます。
まずは
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」を確認しましょう。
(3)断面算定の仮定条件について
i)解説図3.8 は,柱・梁の2段配筋方向が引張鉄筋になる場合の有効せいdを示した. 納まりから1段筋と2段筋の配筋本数を設計図書から変えると有効せいdが変わり, 部材の曲げ耐力が変わることになる.したがって,納まりから1段筋と2段筋の配筋本数を設計図書から変える場合でも工事監理者の承認または指示を受ける必要がある.
解説図3.8 柱・梁の引張鉄筋の重心位置
ii)解説図3.9 は,X方向梁とY方向集の上下関係からdix,diyが異なる場合を示した.
このように梁の方向によってdix,diyが異なってくる。しかし,断面算定では梁の方向や梁筋の上下端によって一段筋のかぶり厚さが異なってくることまで厳密に取り込んだ計算をすることは少ない.したがって, どちら方向の梁筋を上側にするべきかといったことは,スパンや小梁との位置関係などから決まることになるが, 設計図書に示されていない場合には工事監
理者の指示を受ける必要がある.解説図3.9 梁筋の上下関係による引張鉄筋の重心位置
このように
引張力を負担する鉄筋はコンクリートの断面の中において
鉄筋の重心位置や中心間の距離などが構造計算上重要になります。
そこで
梁筋の納まり上1段筋では納まらずに2段筋に変更せざるを得ない
場合においては、鉄筋の「有効せい」が変化するので現場判断では
決めることが出来ないというのが重要です。
「別に本数さえ合っていれば良いでしょ!」
という訳には現実的にはいかないのです。
「でも、1段筋のままじゃ現場は納まらないよ!どうするの?」
というあなたの声も聞こえてきますので、工事監理者さんを経由して
構造設計者さんに確認を取る必要があります。
そこで
構造設計者さんが再計算を行ってNGが出なければひとまずOKでしょう。
もしもNGが出た場合はしかるべき補強(修正)の指示が出るはずです。
それから確認検査機関へ報告と相談を行う必要もあるはずです。
だから
決して、あなたの判断で勝手に施工することの無いようにしましょうね。
つまり
設計図の作成時点で過密に配筋された柱や梁があると、
柱・梁相互の干渉や、現場の納まり上の問題などで
当初の予想通りに配筋出来ないケースがあります。
そこで
1段配筋が2段配筋などに変更すると、梁の構造上の有効せいが
変わってしまうので、現場の勝手な判断で変更することは出来ません。
必ず、工事監理者さんを経由して構造設計者へ確認してもらって下さいね。
ちなみに
図面チェック時に問題が発覚していたのにそのままにしていて
現場でトラブルになってしまうケースもあったりするので、
気付いたら確認・打ち合わせを行わないとこちらのようになりますよ。
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