「何でここの継手長さ40d取ってないん?」
「腹筋はこれで良いはずですよ…」
「えっ?そうなん?」
「はい!この前某スーパーゼネコンの現場でも文句言われてません」
「そうなんや……。なら、ええわ」
これは、とある現場監督と鉄筋屋さんのやり取りです。
鉄筋と鉄筋を重ねてジョイントする場所は常に
「重ね継手長さ(L1) 」が適用される。
と考えがちですよね。当然ながら私も知らなかったら同じ様に考えます。
しかし
腹筋は違います。
なぜなら
腹筋は構造的に意味を余り持たないからです。
重ね継手の長さが決められているのは応力が伝達されるべき部分、
構造的に意味のある部位なのです。
では
腹筋は何のために存在するのか?
というと、基本的には「組立用」なのだそうです。
現実的には最後の最後に腹筋を組み立てる事が多いので、
「組立後の形状維持のため」といった所でしょうかね。
ただし
全ての腹筋が構造的に意味がないか?というと
そうではありません。
場合によっては、腹筋に応力を負担させる場合もあります。
私も通常D10が多い腹筋がD16だったことがあります。
その頃は詳しく突き止めませんでしたが、そんな場合は
実は応力を負担させる構造だったのかも知れませんね。
最後に、
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
腹筋は,組立用の鉄筋であり応力の負担を期待していないので,その継手長さは上記にかかわらず150mm程度でよい.ただし.特殊な応力を受ける部材(例えば,ねじりモーメントを受ける梁など)で腹筋位置に設けた軸方向鉄筋に応力を負担させる場合は,その継手長さおよび定着長さを設計図書に特記しなければならない.
つまり
継手長さが足りないと鉄筋屋さんに文句を言う前に確認すべき事とは、
「腹筋には通常の重ね継手の長さは求められず150mm程度でよい」
ということです。
もちろん、上記の内容は腹筋が構造的に意味のない場合です。
特殊な応力を受ける場合は設計図書などに「必要な継手長さ」
が記載されているはずなので確認して優先させてね。
だから
構造的に意味があるか?によって必要な長さが定められています。
例えば
同じ納まりでもコンクリート強度が違えば必要長さが変わることもありますよね?
ピンとこないあなたはこの記事を読んでおさらいしてね。
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