コンクリート工事の担当者になったけど、「品質管理全般任した」
って急に言われても何から始めたら良いか全く分からないよ~。というあなたへ
今回は、コンクリートの品質計画・許容値の定め方についてお伝えします。
まず
建築を造る上で、コンクリート工事に求められる品質って何?
について、考えていきましょう。コンクリート工事に求められるのは、
「構造体」としてのコンクリートと、「仕上げの下地」としての
コンクリートの2種類があると私は考えています。
そこで
始めに「構造体」としてのコンクリートについて考えていきます。
「構造体」としてのコンクリートに求められるのは、地震時などの
外力に対して構造計算によって想定された被害ですむような「躯体」を
構築することなので、「所定の強度を発現」できる、「密実」な
コンクリートを構築することが重要なのです。
ただし
打設したコンクリートの内部が密実か?については分かりませんので、
表面状態が「密実」な状態であるようなコンクリートを打設することが
非常に重要なのです。
そのために
型枠の組立状態、鉄筋のかぶり厚さの確認を事前確認として、
打設時にはバイブレーターや壁面たたきをしっかりと行える人員や
打設順序、打設スピードを計画する必要があるのです。
また
構造体として必要な断面寸法が欠損しないように型枠を組み立てる
と言うことも「構造体」としてのコンクリートには必要です。
次に
「仕上げの下地」としてのコンクリートです。
現実的な話として
コンクリートは四角四面に施工図の寸法通りには出来ません。
人間が1つ1つ組立をしていくので必ず施工誤差が出てきます。
余談ですが、私は施工誤差は今後ロボットが現場で活躍しだしても
当分の間は無くならない物だとも考えています。
だから
現場としては、施工誤差が「仕上げの下地」としての許容値の中に
納まっていれば極端な話OKなのです。
例えば
浴室の壁がタイル張りで、コンクリートに対して
モルタルを20mm塗るような条件であれば、
躯体が10mm倒れていても結論としてはOKとなります。
逆に
壁がコンクリートの打ち放しで、サッシなどが
シビアな寸法で取りついてきて逃げ道が少ない時は
精度を確保する必要があるのです。
だから
最初は難しいとは感じますが、仕上げから逆戻りしてコンクリート
を考えて許容値を決めるという事が大切ですよ。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.356
(2) コンクリー卜部材の断面形状、寸法及び位置は、設計図書に建築物として必要な性能を有するように設計された値が指定されており、「標仕」6.2.5(1)による許容差の範囲に収まるように施工する必要がある。「標仕」表6.2.3では一般的な許容差の標準値を示しているが、この数値は本来建築物の機能、部位、仕上げの程度等によって変動するものであり、共通的に定まるものではない。例えば、石工事(「標仕」10.1.3(3)参照)や左官工事(「標仕」15.3.3 (3)参照)等のようなコンクリート工事のあと工程となる仕上材料に要求される精度により、「標仕」表6.2.3をそのまま使えない場合もある。このため、各工事ごとにこの許容差を定めるに当たっては、寸法誤差が生じた場合の影響度等も考慮して、「品質計画」において、適切な値を定める必要がある。
コンクリートは、全断面において均質なものとして設計されており、打ち上がったコンクリートはこれを満足させる必要がある。しかし、打ち上がったコンクリー卜の内部を確認することは非常に困難であり、表面の状態を確認することによって、内部の状態を推定することになる。一般的にコンクリート部材の内部と比べて表面付近は鉄筋や型枠等の影響で、欠陥が生じやすくなる。このため、「標仕」6.1.2 (2)では、「密実な表面状態」を要求事項とし、コンクリート内部の品質を合めて表面状態で確認することにしている。コンクリート表面に豆板等の欠陥がある場合には、コンクリートの耐久性や強度に影響を及ぼすため、「標仕」では、せき板取外し後にコンクリート表面を確認することにしている。「品質計画」においては、第一に密実なコンクリートを打ち込むための具体的な方法の提案をさせるとともに、もし、豆板等が発生した場合、その程度に応じた補修方法等を定めるようにする。この場合の補修方法については6.9.6(2)を参考にするとよい。
つまり
コンクリート工事の品質計画・許容値を定める上で大切な物とは
仕上工事における躯体に対する許容値が大きなウェイトをしめます。
結局は
コンクリート工事の担当者になって色々決めないといけないけど、
躯体工事だけ理解していも肝心なところで役に立たない状況になり、
仕上の納まりが分かっていないと結論は出せないという事にも
なりかねませんので最低限の知識だけはつけながら進めて行きましょう。
実は
「躯体」というのは「完成形」から「仕上部分」を除いたものです。
そういう意味では、躯体が分かるという事は、仕上の理解も必要です。
ちなみに、過去にこのようなお問い合わせも来ているので
これから「躯体」「仕上」「図面」を勉強していくあなたは
必ず確認して、必要な資料・書籍は揃えておくようにしましょうね。
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