寒中コンクリートで建築工事監理指針が示す2つの技術的課題とは?

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寒い冬にコンクリートを打設すると言うのは私は余り好きではありません。
コンクリート押さえがあると、なおさら押さえ作業が完了するのが
夜中になったりするので嫌なイメージしか有りませんね。

 

でも

私は日本列島で考えると比較的暖かい地方での経験が多いので、
寒中コンクリートの管理に関してはあなたの方が知識があるかも
知れませんので、もしも何か追加の知識があればコメントして
いただけると嬉しいです。

と言うことではじめて行きましょう。

 

まず

寒中コンクリートの管理で1番大切なのは「初期凍害」の防止です。
つまり、せっかく打設したコンクリートが硬化する前に
凍結してしまうことを防ぐことが重要だという事です。

 

その為には

  • コンクリートの荷卸し時点のコンクリート温度が出来るだけ高くなるように生コンプラントで調整をしてもらう
  • コンクリートが凍結しないように、シートで覆ったり、ジェットヒーターなどで採暖を取る

という行動が重要になってきます。

 

また

「いつまで凍結防止措置を行うか?」

については、初期強度の5N/mm2 が発現するまでとなっています。
初期強度が発現するまで行くと、コンクリートとして固まっていますし、
その後は、コンクリート自身の反応で熱を持って行きますからね。

 

しかし

気温が低いとコンクリート強度の発現までの時間が掛かる事にも
注意すべきでしょう。春や秋なら10日で得られた圧縮強度も、
冬なら数日間は遅れて発現するはずなので、型枠支保工を解体する
タイミングなどは、過去の生コンプラントの実績などを参考にしながら
検討をする事をオススメしますよ。

 

特に

最上階などで、1日でも早く型枠支保工を解体したい場合などは、
事前によく検討しておかないと、生コンプラントから

「あの~、強度出てないんですがどうしましょうか?」

という連絡が来たら、その後に段取りしていた全ての工事が
ズレてしまって工期に多大な影響を与えてしまいますからね。

 

最後に

の該当部分を確認して下さい。

公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]

P.79

6.11.1 一般事項

(1) この節は、コンクリート打込み後の養生期間中に、コンクリートが凍結するおそれのある期間に施工するコンクリートに適用する。
(2) 寒中コンクリートの適用期間は、特記による。
(3) 養生方法、保温管理方法等必要な事項を施工計画書に定める。
(4) コンクリートの製造、打込み及び養生に当たり、コンクリートが所定の温度を保つようにする。

 

P.80

6.11.3 製造、運搬、打込み等

(1) レディーミクストコンクリート工場は、荷卸し時に所定のコンクリート温度が得られるよう、運搬時間を考慮して選定する。
(2) コンクリートの練上り温度は、運搬時間、施工条件、気象条件等を考慮して、コンクリートの荷卸し時の温度が、10℃以上 20℃未満となるように定める。
(3) 材料を加熱する場合、セメントは加熱しない。また、骨材は直接火で加熱しない。
(4) 加熱した材料を練り混ぜる場合は、セメント投入前のミキサー内の骨材及び水の温度を 40℃以下とする。
(5) 型枠組立後、型枠内に積雪のおそれのある場合は、シート等で覆う。また、型枠の内部や鉄筋等の表面に氷雪が付着した場合は、打込みに先立ち取り除く。
(6) 凍結した地盤上にコンクリートを打ち込まない。
(7) 凍結した地盤上に型枠の支柱を立てない。また、地盤が凍結するおそれのある場合は、支柱の足元を保温する。

 

6.11.4 養生

(1) 一般事項
(ア) 養生期間中は、保温された空間の温度及び気温を自記記録温度計等により記録し、保温管
理を行う。
(イ) 初期養生期間中は、コンクリートの温度についても自記記録温度計等により記録し、測定
は、打ち込まれたコンクリートで最も温度が低くなる部位で行う。
(ウ) 保温養生に必要な保温又は採暖の方法は、気象記録、予報等を参考に定める。
なお、必要に応じて加熱試験を行う。
(エ) 採暖する場合は、コンクリートが均等に加熱され、かつ、急激に乾燥しないようにする。
また、採暖終了後のコンクリートは、急激に温度が低下しないよう必要な措置を講ずる。

(2) 初期養生
(ア) 初期養生は、6.11.6によるコンクリートの圧縮強度が5N/mm2 以上となるまで行う。
(イ) 初期養生の方法は、打ち込んだコンクリートの全ての部分について、その温度が2℃以下
にならない方法とし、次による。
(a) コンクリートの打込み後、直ちに露出面をシート等の適切な材料で隙間なく覆う。
(b) 気温が一時的にでも0℃以下になると予想される場合は、コンクリート露出面及び開口
部をシート等の適切な材料で隙間なく覆う。
(c) 気温が、数日にわたり0℃以下になると予想される場合又は一時的にでも-10℃以下に
なると予想される場合は、構造物全体をシート、合板等の適切な材料で覆い、構造物の内
外部を所定の温度に保つように採暖する。
(3) 初期養生の後、継続して養生を行う場合は、次による。
(ア) 養生方法は、(2)(イ)の(a)から(c)までに準じて行う。
(イ) 継続した養生の打切りは、所定のコンクリート強度が得られることを、保温管理の記録及
び 6.11.6によるコンクリートの強度試験によって確認した後に行う。

 

建築工事監理指針(令和7年版上巻)

P.475

6.11.2 材料及び調合

(1) 氷雪の混入した骨材、凍結した骨材はコンクリート温度や単位水量の変動をもたらすおそれがあるので、使用しない。

(2) 寒中コンクリートにおいても、構造体コンクリートの強度は、普通コンクリートと同様、材齢91日 までに所定の設計基準強度(Fc)が得られるものでなければならない。普通コンクリートと異なるのは、圧縮強度5N/mm2が得られるまでは、コンクリートが凍結しないように適切な養生を行うことが必要ということである。調合は、養生計画に応じて、養生期間内に圧縮強度5N/mm2が得られるように定めなければならない。

(3) 「標仕」では、かつて積算温度により管理することを原則としていた。しかしながら、積算温度方式は、一般的な現場での適用が難しいため、普通コンクリートと同じく、設計基準強度(Fc)に、「標仕」表6.3.2の構造体強度補正値(S)を 加えた値以上となるように調合管理強度を定めて管理をすることとしている。
「標仕」6.11.2(3)(ア)の「ただし書き」における積算温度とは、「材齢 (日 )」 と「温度+10(度)」 の積で求められる値であり、28日 間20℃ で養生した場合に28(日)×(20+10)(度 )=840° D・ Dと なる。適切に初期養生が行われた場合には、日数と温度の組合せが変わっても、積算温度が同じであれば同程度の強度が得られるといわれている。経済的な養生方法で、材齢91日 までの積算温度が840° D・ D以上となる場合には、普通コンクリートと同じく、設計基準強度(Fc)に、「標仕」表6.3.2の構造体強度補正値(S)を 加えた値以上となるように、調合管理強度を定めて管理
をすれば、20℃ で28日 間の場合と同様、設計基準強度の確保が期待できる。
しかし、北海道等では、保温養生によって材齢91日 までの積算温度を840° D・D以上とするのが、不経済となる場合も多い。
「JASS 5」 12節及び(一社)日 本建築学会「寒中コンクリート施工指針・同解説」では、コンクリートの積算温度と強度の関係から、設計基準強度が得られる積算温度を、調合管理強度に応じて求める方法が示されており、材齢91日 までの積算温度が840° D・ Dを下回る場合の調合管理強度の決定、養生計画の立案の際の参考にするとよい。

(4) 混和剤として、AE減水剤遅延形や高性能AE減水剤を用いる場合には、コンクリートの凝結や硬化が遅れて初期凍害を生じる危険性が増すため、初期養生に注意する (6.11.4参 照)。

 

 

つまり

寒中コンクリートで建築工事監理指針が示す2つの技術的課題とは、

  1. コンクリート打設後の初期凍害を防止すること
  2. 低温によるコンクリート強度発現の遅れに対する品質的なフォロー

です。寒中コンクリートについては、あなたの住んでいる地域によっては
全く関係ないという事もありますし、私が経験しているよりも深い知識を
持ち合わせているかも知れませんが、その辺りは「地域差」だと考えて
ご了承願います。

 

また

気温が下がって天候が荒れる時には、風も強くなってくることが多いですね。
台風が来るときは、あらかじめ予測して対策をとるけど、普段の日に突然に
突風が吹き荒れる場合は対応が難しいのが本音です。

 

だから

普段から強風による足場の倒壊防止に備えて、風が足場に与える影響に
関する知識を備えておいた方が、いざという時には役に立ちますので
是非こちらの記事も合わせて読んで理解を深めておいて下さいね。

↓ ↓ ↓

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