溶接で欠陥生じやすい箇所は?有効長さとエンドタブとの関係

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現場でよく見る溶接は何ですか?

と言われると、隅肉溶接が多い気がしています。

当然ながら、鉄骨工事で、フランジが溶接接合ですという場合等で、
本格的な突合せ溶接が工程の中に組込まれていれば別ですが、
その他の場合は、あるものとあるものをつなぎ合わせる為に
隅肉溶接が一番多いかなという私自身の印象です。

 

ちなみに

隅肉溶接の耐力は、溶接されてる長さが影響されますが、
溶接されている形状の端から端までを測った長さを全て
有効な溶接長さとしてはカウントできません。

隅肉溶接は、一般的に溶接の始めと終わりの端の部分に
欠陥が生じやすいとされており、その長さは隅肉のサイズ程度
だと言われています。

 

なので

隅肉溶接の有効長さは、隅肉溶接の全体の溶接長さから、
隅肉サイズの 2倍を引いた部分のみが有効だとカウントされるので、

 

逆を言うと、

隅肉溶接において、必要な溶接すべき長さ(溶接長さ)は、
構造耐力上必要な溶接長さ(有効長さ)に、隅肉サイズの
2倍を加えたものとなるのです。

 

同様に

突合せ溶接においても欠陥の生じやすい、開始時と終了時に、
欠陥の少ない状況を確保するように取られている処置の1つが
「鋼製エンドタブ」です。

 

引用:エンドタブってなに?1分でわかるエンドタブの意味と、目的

 

実際の溶接すべきところを鋼製エンドタブを取付ける事で、
溶接長さを実質的に延長することで、欠陥の生じやすい
始終端の部分をエンドタブ内に納めて、母材自体は溶接の
有効長さが確保できるように設置します。

また、エンドタブは色々な種類もあり、鋼製エンドタブ以外にも
固形エンドタブでセラミック製のものもあります。
性能や効果が違うところがありますが、こちらは建築工事監理指針
の該当ページを載せておきますので、よく読んでおいて下さい。

特記仕様書などで鋼製エンドタブ以外は、監督職員の承認をうけると
されている場合は、安易にセラミック製のエンドタブを使用すると
設計図通りに施工されていないことになりますからね。

 

最後に

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。

P.586

(19) 隅肉溶接長さは、「標仕」 7.6.7(4)(ア)では、図 7.6.7 に示すように、溶接始終端の欠陥を生じやすい部分の長さを隅肉サイズの寸法程度と考え、有効長さに隅肉サイズの 2倍を加えたものとしているので、この長さを確保するように施工する。

図 7.6.7 溶接長さ

 

P.579

(6) エンドタブに関する留意点等を次に示す。

(ア) 鋼製エンドタブ

鋼製エンドタブは、溶接の始端と終端の欠陥を防ぐために取り付ける。鋼製エンドタブは、一般に母材と同等の材質、同厚、同開先のものを用いる。鋼製エンドタブの長さは、始終端の欠陥がエンドタブ内に完全に納まるように決める。長さは母材の厚さにもよるが、次のような例が目安となる。

(a) 被覆アーク溶接      :30mm以上
(b) ガスシールドアーク溶接 :30mm以上
(c) サブマージアーク溶接    :70mm以上

柱梁接合部における鋼製エンドタブの組立て溶接は、直接、柱及び梁のフランジに行わない。これは、組立て溶接がショートビードとなり、熱影響部の破壊靭性を低下させ、フランジの脆性破壊の起点となるおそれがあるためである。肉 7.6.8 イ に柱梁接合部における鋼製エンドタブの組立て溶接の例を示す。

鋼製エンドタブを切断せずに残した場合、梁フランジとエンドタブにより形成されるスリットの底を起点として溶接部が破断する場合がある。「JASS 6」では、鋼製エンドタブの切断の要否及び切断要領は特記によることとしている。梁端の接合部において、切断することが望ましい場合として、次の三つの条件が重なった接合部が挙げられる。

1 大地震時に塑性ヒンジを形成する接合部
2 梁材が490N/mm2級鋼で、溶接ワイヤが YGW11 により溶接施工された接合部
3 梁が接合する柱材に幅厚比 25 以上の角形鋼管が用いられている接合部

溶接部の破断を防止する観点から鋼製エンドタブを切断する場合には、図 7.6.8 ロ に示すように、ガス切断により荒切りした後、グラインダで仕上げる。

図 7.6.8 鋼製エンドタブに関する留意点

 

(イ) 固形エンドタブ

ガスシールドアーク溶接の場合、鋼製エンドタブに代わり、最近ではセラミック等を焼結した固形エンドタブを用いる例が増えている。固形エンドタブの役割は鋼製エンドタブとは異なり、始終端における溶接金属のたれ落ちを防止するとともに、溶接ビードを折り返すための一種のせき板の役割を果たしている。固形エンドタブを用いた場合、タブ近傍にスラグ巻込みや溶込み不良等の欠陥が発生しやすく、健全な溶接部とするには、溶接技能者に対して固形エンドタブ特有の技量が要求される。

「標仕」では、鋼製エンドタブ以外の工法を用いる場合、監督職員の承認を必要としている。したがって、固形エンドタブを使用する場合、監督職員は、溶接技能者の技量を固形エンドタブ工法のための技量付加試験等により確認した上で承認することになる。

 

つまり

隅肉溶接長さでは、溶接の始終端で欠陥をを生じやすいので、隅肉サイズの寸法程度は欠陥の
可能性が有ると考えて、溶接に必要な有効長さに隅肉サイズの 2倍を加えたものとしています。

 

また

終始端の欠陥を母材に残さずに、両端の長さに余裕をもてるように取付けるのがエンドタブです。
エンドタブの長さは、欠陥の可能性のある長さがエンドタブ内におさまるように取付けます。

 

そして

エンドタブは鋼製以外では、監督職員の承認が必要とされているので、使用する場合は
事前に計画書などで確認してもらう事が必要です。
設計事務所の承認を取りやすくするには、こんなことも参考になるかも知れませんよ。

↓  ↓  ↓

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