既製コンクリート杭はほぼ間違いなく中空の形状をしている。
言うなれば、ちくわの様な形状をしているのだ。
では
何故、ほぼ全ての既製コンクリート杭がちくわの様な形状を
しているだろうか?何か理由があるのだろうか?
について、今回はお伝えしていく。
まずは
既製コンクリート杭を製造する過程からお伝えしよう。
既製コンクリート杭のほとんどはPHC杭と呼ばれるように、
PC鋼線によってプレストレスが掛けられている杭であり、
杭の形状をした鋼製の型枠に対して、杭の両端にある金物に
PC鋼線を取付け、配筋を行った後にコンクリートを打設する。
ちなみに
コンクリートは丸い筒状の型枠の中に打設されるので、
当然出来上がりの製品ような中空型にはなっていなく、
コンクリートがある程度充填されている状態である。
ここから
既製コンクリート杭が中空になる理由が隠されている。
コンクリートを充填された杭の鋼製型枠は次の工程の機械に
運ばれて、硬化するまで「グルグル」と回転し続けるのだ。
実際に
杭の製作工場に行くと、かなりの騒音でグルグル回転している
製作中の杭がたくさん並んでいるのだ。
当然、回転している杭には遠心力が働くことにより
先程打設されたコンクリートは自然と外周部に集まってくる。
外周部にコンクリートが集まりながら硬化するので自然と
ちくわの様な中空のコンクリート杭になるのだ。
ちなみに
既製コンクリート杭の内部を覗いてみるとザラザラになっていて
ノロみたいな物が貯まっている場合も製造方法によってはある。
これらは、普段あなたがコンクリートを打設する時にあがってくる
レイタンスと同じような状態なのだ。コンクリートの密実な部分は
周囲で構成されているので端部の金物の厚み以上に密実な部分が
存在すれば構造上は問題ないはずである。
次に
実際の施工段階においてもちくわのような開放杭である理由がある。
しかし、実際にあなたが既製コンクリート杭を施工したことがあれば、
杭を沈める際に杭の中から「ドバーッ」と汚泥が溢れてくるのを
見たことがあるはず。
実際に
「この汚泥が散らないように蓋をしたらどうだろう?」
と杭業者に相談したこともあるが、答えは「NO」だった。
なぜなら
杭に蓋を付けて沈めることは、洗面器をお風呂のお湯の中に
下まで押し込むことが難しいようにかなりの圧力がかかるので
ちくわの様に杭の中側から圧力を逃しながら打設しないと、
最悪の場合は杭が壊れる可能性があるって言っていたから。
だから
杭を沈める時に汚泥が飛散する事は仕方ないんだね。
つまり
既製コンクリート杭は何故ちくわの様に中が空洞なのかについては、
杭を製作する時に遠心力を掛けて回転しながら行なうため、
中心部のコンクリートが必然的に周囲に集まるため中空の形状であり、
杭の打設時に浮力を逃がすために中空の開放杭となっているのである。
だから
既製コンクリート杭の打設時には、杭汚泥の飛散がいつも懸念される。
杭汚泥の飛散についてはこちらの記事を参考にしてね。
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