「来週の金曜日に生コン打ちたいんですけど空いてます?」
「じゃあ、配合と数量教えてくれますか?」
「36-18-20N で 9時打設開始で150m3くらいです。」
「だったら大丈夫そうです。とりあえず抑えておきますね」
この生コン工場の担当者とのやり取りを読んで、あなたはどう感じましたか?
「だいたいこの程度で済ませて、あとは担当者からの質問に答えるだけ」
「いやいや、この情報では段取りよく生コンは打設できないよ」
様々な感じ方があるはずです。その中でも一番多いのが
「冒頭のやり取りでは足りないのは何となくわかるけど、
何を伝えたら良いの?」
という疑問なのではないでしょうか?
そこで
今回は、私が考える生コンクリート打設時に生コン工場へ伝えるべき
ポイントについてお伝えしていきましょう。
今回は、さっそく答えを書いておきます。
- 呼び強度
- スランプ値
- 粗骨材の最大寸法
- セメントの種類
- 添加する混和剤の種類
- 打設箇所
- 配合計画書の何番に当たるか?(設計基準強度との関係を明らかに)
- 打設量と打設ピッチ
- 特殊な配合(固め、柔らかめ等)(階段などがある場合)
ここで、冒頭のやり取りで解決できているのは1~4、8の半分です。
確率で行くと50%はクリアしていることになります。
生コン工場のスケジュールを抑えるには
- 配合が特殊ではないか?(高強度などではないか?)
- 打設数量
- 打設開始時間
が分かれば、枠としては確保できるので初期情報としては良いです。
しかし
同じ、呼び強度が「36-18-20N」でも、打設部位によっては「中身」が
違う可能性だって十分にあるので注意が必要です。
例えば
設計基準強度 33N + 構造体強度補正値 3N での 36N か
設計基準強度 30N + 構造体強度補正値 6N での 36N か
については打設部位によって異なります。
すると、添加する混和剤が異なってくる場合などもあるので、
打設箇所と設計基準強度と呼び強度の関係は伝えるべきでしょう。
更に
1時間あたりどのくらいのペースで打設していくのか?
階段などでスランプの許容値の範囲内で「硬め」「柔らかめ」があれば
何台目にどんな要望があるか?
なども合わせて伝えることが当日のスムーズな打設の為には大切です。
そして
一番大切なのは、後でトラブルになった時に「言った、言わない」で
もめないように、FAXやメールなどの「記録に残る手段」で伝えることが
大切なので、あらかじめフォーマットを決めて書き込むようにすると
「伝え忘れ」が減るので効果的ですからね。
最後に
「建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.398
6.4.2 レディミクストコンクリートの発注
(1) Ⅰ類コンクリートの発注に当たっては、表6.2.1に示す「レディーミクストコンクリートの種類」からコンクリートの種類、粗骨材の最大寸法、スランプ及び呼び強度の組合せを指定させるほか、表6.4.1に示す a) から d) の事項とともに、必要に応じて e) から q) の事項を生産者と協議のうえ、受注者等に指定させる。ただし、a) から h) については、JIS A 5308で規定している範囲とする。
(2) Ⅱ類コンクリートの発注に当たっても、Ⅰ類コンクリートと同様に必要項目を生産者と協議のうえ、受注者等に指定させる。
→-表 6.4.1 指定及び協議事項 (JlS A 5308 : 2019)
- a) セメントの種類
- b) 骨材の種類
- c) 粗骨材の最大寸法
- d) アルカリシリカ反応抑制対策の方法
- e) 骨材のアルカリシリカ反応性による区分
- f) 呼び強度が36を超える場合は,水の区分
- g) 混和材料の種類及び使用量
- h) 品質の項で定める塩化物含有量の上限値と異なる場合は,その上限値
- i) 呼び強度を保証する材齢
- J) 品質の項で定める空気量と異なる場合は,その値
- k) 軽量コンクリートの場合は,軽量コンクリートの単位容積質量
- l) コンクリートの最高又は最低温度
- m) 水セメント比の目標値(注)1の上限 [(注)1 配合設計で計画した水セメン卜比の目標値 ]
- n) 単位水量の目標値(注)2の上限 [(注)2 配合設計で計画した単位水量の目標値] o) 単位セメント量の目標値(注)3の下限値又は目標値(注)3 [(注)3 配合設計で計画した単位セメント量の目標値]
- p) 流動化コンクリートの場合は流動化する前のレディーミクストコンクリートからのスランプの増大量 [購入者が d) でコンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策の方法を指定する場合,購入者は流動化剤によって混入されるアルカリ量 (kg/m3) を生産者に通知する。]
- q) その他必要な事項
つまり
生コン工場へコンクリートを発注するときに伝えるべき内容とは、
- 呼び強度
- スランプ値
- 粗骨材の最大寸法
- セメントの種類
- 添加する混和剤の種類
- 打設箇所
- 配合計画書の何番に当たるか?(設計基準強度との関係を明らかに)
- 打設量と打設ピッチ
- 特殊な配合(固め、柔らかめ等)(階段などがある場合)
を確認しながら、打設するコンクリートがコンクリート配合計画書と
合致する仕様であることをお互いチェックすることが必要です。
なぜなら
お互いの頭の中が、あなたが「同じ事を考えているだろう」と解釈していても
意外と「お互いが勘違いしている」ことが起こるからです。
特に、お互いのコミュニケーションが上手くいっていない場合はなおさらです。
こちらが、典型的な例なので参考にしていただければ幸いです。
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