街を歩いていると他所の現場に運ぶ鉄骨を載せたトラックを
見ることがたまにありますが、私は意外と面白くて、現場の
状況を勝手に想像してしまいます。
例えば
「あの柱は外部に面しているんだな」
「あの梁の仕上げという事は、大空間があるのでは?」
「この柱には後から耐火被覆をするんだな」
それ以外にも、サイズ感によって建物規模を想像したりもしますが
先程のように、鉄骨の工場出荷時の状態で、どこでどんなふうに
使われるのかも合わせて想像してしまいますね。
「その想像の根拠って何ですか?」
とあなたは感じたかもしれません。その根拠がタイトルにもある
鉄骨のどの部分に塗装が施されているか?です。
なぜなら
鉄骨の材質は、文字通り「鉄」なので錆びます。
なので、錆を防ぐために錆止め塗料を塗布するのが通常です。
しかし、錆止め塗料によって、その上から施す仕上の付着が
悪くなったり、摩擦がなくなると品質を損なう可能性もあります。
具体的には、以下の2つで
- ボルトの接合部分…以前の記事でお伝えしたように、塗料によって滑り係数が変化するので、ボルトの所定の耐力を得ることが出来なくなります。
- 耐火被覆面…ロックウール吹付を行う時は、吹き付ける鉄骨面に付着力がないと施工後に剥がれ落ちる可能性があります。また、巻きべいやケイカル版などで覆うものに対しても直接外気に触れないので錆止め塗料は施工されません。
ここで、外部に面する鉄骨の場合は、外部面以外については、
取付く壁と合わせて耐火性能を確保するので、素地のままですが、
取り残された外部面は、錆止め塗料を施工するので、
「1面だけ錆止めが塗られた柱」が誕生します。
また
大空間の梁の場合は、一番上の階で床から4m以上にあれば、
耐火被覆の必要が無いので、錆止めや仕上の塗料が塗られます。
エントランスなどで使用される、鉄骨をデザインとして使用する場合は
耐火被覆ではなく、耐火塗料で性能を満たそうとするため、
丸い柱で、いつもの錆止めと違う種類が塗られていれば、そういう部分に
使用されるのかな。と想像が出来てしまいます。
すると
人の現場でも、なんとなくどんな現場か?どの部位に使用するか?
を想像することがある程度出来るのですが、逆を言うと、現場を管理する
あなたは、各柱・梁の1面1面について、どんな仕上で性能はどうか?
を確認しないと所定の品質を得る建物は出来ないという事なので、
錆止め塗料に関するチェックは慎重にお願いしますね。
最後に
「公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.110
7.8.2
塗装の範囲(1)耐火被覆材の接着する面の塗装範囲は、特記による。また、耐火被覆材の接着する面以外の塗装範囲は、特記により、特記がなければ、次の部分以外の範囲を塗装する。
(ア)コンクリートに密着する部分及び埋め込まれる部分
(イ)高カボルト摩擦接合部の摩擦面
(ウ)密開される閉鎖形断面の内面
(工)ピン、ローラー等密着する部分及び回転又は摺動面で削り仕上げした部分
(オ)組立によって肌合せとなる部分(2)工事現場で溶接を行う部分であっても、溶接に支障となる錆が発生するおそれのある場合は、溶接に支障のない適切な防錆措置を講ずる。
(3)工事現場で溶接を行う部分の両側それぞれ 100mm程度の範囲及び超音波探傷試験に支障を及ぼす範囲の塗装は、超音波探傷試験の完了後に行う。
「建築工事監理指針(令和7年版上巻)」
の該当部分を確認して下さい。
P.610
7.8.2 塗装の範囲
「標仕」では、コンクリートの付者や耐火被覆の接着、接合部の摩擦面、工事現場での溶接及び溶接後の検査等に支障を及ぼすおそれがある部分等については、塗装をしないこととしている。
「標仕」7.8.2(1)の 「耐火被覆材の接着する面」とは、耐火材吹付けやラスモルタル塗り等の接着のみで取り付けられる場合に適用される。しかし、適用される耐火材吹付けの中で、吹付けロックウールの乾式工法は耐火被覆材の凝集力が小さく、鉄骨表面との界面破断の問題とはならない。また、耐火板張りや耐火材巻付け等の機械的な取付けとなる場合の鉄骨面に対する塗装の要否は、耐火被覆材の種類とは関係なく、建築物が置かれる環境条件、特に湿度条件を考慮して検討される。
つまり
鉄骨の出荷時にどの面を錆止め塗装するのか?については、
- 1つ1つ耐火被覆を行うのか?
- 外部からの雨水にさらされる危険性があるのか?
- 仕上げはどうなるのか?
という事を1つ1つ確認してチェックする必要があるのです。
無駄なところに塗装をしてしまうとコストもかかるし、付着力もない。
というダブルパンチになってしまいますからね。
ちなみに
躯体工事で仕上げの事を1つ1つ考えないといけないのが
型枠工事ですが、こちらの記事で仕上げとの関係について
書いているので合わせて読んで理解を深めてみてはどうですか?
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