現場で配筋されたスラブ上をあるいている時などに
「あれ?下の階と何か違う!?」
っと感じることがあります。
それが
鉄筋の定着長さなのです。もちろん、基本的な数値は覚えているのですが、
定着長さというのは同じような配置であったとしても
フロアが違うと変化する可能性があるからなのです。
もしも
工事監理者さんと一緒に配筋検査をしている途中に質問されたら
恥ずかしい思いをするのは私ではなくてあなたですからね。
ここで
「ん?」と感じたあなたはこちらを確認して下さいね。
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
a.鉄筋の定着の長さおよび方法は,特記による.特記のない場合,小梁,スラブの下端筋を除く異形鉄筋の直線定着の長さL2は 表6.1(a)の数値以上とし,フック付き定着の長さL2h,は同表(b)の数値以上とする.
表6.1 異形鉄筋の定着の長さ
(a) 直線定着の長さ L2
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm)SD295A
SD295BSD345 SD390 SD490 18 40d 40d - - 21 35d 35d 40d - 24~27 30d 35d 40d 45d 30~36 30d 30d 35d 40d 39~45 25d 30d 35d 40d 48~60 25d 25d 30d 35d
(b ) フック付き定着の長さ L2h
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm)SD295A
SD295BSD345 SD390 SD490 18 30d 30d - - 21 25d 25d 30d - 24~27 20d 25d 30d 35d 30~36 20d 20d 25d 30d 39~45 15d 20d 25d 30d 48~60 15d 15d 20d 25d [注]
(1)表中のdは,異形鉄筋の呼び名の数値を表し,丸鋼には適用しない.
(2)フック付き鉄筋の定着長さL2hは,定着起点から鉄筋の折曲げ開始点までの距離とし,折曲げ開始点以降のフック部は定着長さに含まない.
(3)フックの折曲げ内法直径Dおよび余長は,特記のない場合は表4.1による.
(4)軽量コンクリートを使用する場合の定着長さは特記による.特記がない場合は,Fc≦36N/mm2の軽量コンクリートとSD490以外の異形鉄筋を対象として,表6.1の数値に5d以上加算した定着長さとし,工事監理者の承認を得ること.
b,小梁・スラブの下端筋の定着の長さおよび方法は,特記による.特記のない場合は,小梁,スラブの下端筋の異形鉄筋の直線の定着長さL3は,表6.2(a)の数値以上とし,フック付き定着の長さL3hは同表(b)の数値以上とする.
表6.2 小梁・スラブの下端筋の定着の長さ
(a) 直線定着の長さ L3
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm)鉄筋の種類 下端筋 小梁 スラブ 18~60 SD295A
SD295B
SD345
SD39020d* 10d* かつ・
150mm 以上[注]
*:片持小梁・片持スラブの下端筋を直線定着とする場合は,25d以上とする.
(b) フック付き定着の長さL3h
[注]
コンクリートの
設計基準強度
Fc(N/mm)鉄筋の種類 下端筋 小梁 スラブ 18~60 SD295A
SD295B
SD345
SD39010d - (1〉表中のdは,異形鉄筋の呼び名の数値を表し,丸鋼には適用しない.
(2)耐圧スラブの下端筋の定着長さは表6.1による.
(3)フック付き鉄筋の定着長さL3hは,定着起点から鉄筋の折曲げ開始点までの距離とし,折曲げ開始点以降のフック部は定着長さに含まない.
(4)フックの折曲げ内法直径Dおよび余長は,特記のない場合は表4.1による.
(5)軽量コンクリートを使用する場合の定着長さは特記による.特記がない場合は,Fc≦36N/mm2の軽量コンクリートとSD490以外の異形鉄筋を対象として,表6.2の数値に5d以上加算した定着長さとし,工事監理者の承認を得ること.
だけど
この数値をすべて覚える必要はありません。
私が覚えておくべきであると感じているのは、
構造図の特記仕様書に記載されている定着長さの表です。
先ほどの表には、一般的な定着長さに加えて、コンクリートの強度の
切り替わる階のうち定着長さが切り替わる階ごとに定着長さが記載されています。
だから
特記仕様書の表を覚えておけば、鉄筋に関する知識と合わせて
コンクリートに関する知識も得ることが出来ます。
例えば
マンションなどの同じ躯体の形状が続くような建物であれば、
一定の階にいくと変化が起きるというのは頭では分かっていても
ついつい見過ごしやすいポイントだからです。
そこで
あなたがしっかりと
「どの階から変化するか?」
「変化した結果どうなるのか?」
をしっかりと把握して発言することが周りの人からの信頼を得るには
とっても良い方法だと私は感じていますよ。
つまり
鉄筋の定着長さの数値を是非とも覚えておくべき理由とは、
現場の巡視時や配筋検査時に怪しい箇所があれば直ぐに議論が始まるからです。
そこで
議論の最中に設計図書を開くことなく定着長さを語ることが出来れば
相手からの信頼感が一気に増す可能性が非常に高いからです。
更に
鉄筋の定着長さはコンクリート強度と連携して変化するので
設計図書の特記仕様書で組合せを覚えておけばベストですね。
あっ、そうそう
設計事務所の信頼を一瞬で得る秘訣を過去に書いてましたので
合わせて読んでいただくと理解がより深まりますよ。
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