梁の主筋の継手位置は継手の方法がガス圧接や重ね継手の場合は、
大抵スパンの1/4の位置付近です。
なぜなら
梁のスパンの1/4付近は応力が一番小さいので、
継手にかかる負担も少ないからです。
更には
同じ継手位置の中でも隣り合う鉄筋の継手位置とは
400mm以上などの距離を離さなくてはイケません。
そのくらい継手部に負担が掛かって構造的に悪影響を及ぼさないように
配慮して設計されています。
ところで
今回のタイトルにもある「なぜ端部で継いではイケないか?」
ですが、あなたはどう考えますか?
「それは端部だと応力が大きいから!」
と言う声が聞こえてきそうですね。
たしかに
正解ですが、それだけでは無いので今回は
あえて記事にしています。
では
「他の理由をあなたは答えることは出来ますか?」
と言ってもイキナリ答えは出てきませんよね。
そこで、大ヒントです。
「梁の端部の○部に地震力が掛かると○○する恐れがあるから」
と言うのが、今回の結論ですが分かりましたか?
それでは
まずは基本的な所から考えて行きましょう。
鉄筋の継手が設けられる部分には基本的には、
引張力ではなく圧縮力が掛かるか、応力的に小さな部位ですよね。
すると、梁の端部で圧縮力が掛かるのは上部か下部かと言われると
「下部」となります。
更に
鉄筋をはじめとする鋼材に大きな力が働くと最終的には、
掛かる応力に耐えきられずに「降伏」してしまいます。
その様な「降伏」していまう恐れのある部位に、
母材より必ずしも勝っているとは言えない「継手」を設置する。
と言うことは避けた方が無難である。という結論なのです。
だから
先程の穴埋めをすると
「梁の端部の下部に地震力が掛かると降伏する恐れがあるから」
となります。現場でこの知識をそのまま使う場面はなかなか無いですが
原理として覚えておくと、関係者と話すときに役にたつかも知れませんね。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
P.211
P.216
b. 梁筋の継手位置
梁筋の継手位置について, ガス圧接継手・重ね継手の場合の2 例を図示した.
鉄筋の継手は, 原則として応力の小さいところで. かつ常時はコンクリートに圧縮応力が生じている部分に設け, 継手は1か所に集中することなく, 相互にずらして設けることを原則とする. このとき, 梁端より梁せいD以上離れたところに継手を設けることにしたのは, 大地震時に梁両端の下端筋も降伏の可能性があることによる.
継手を設けるために施工機械を用いる場合は, 施工上必要となる空|司を確保できるように,継手の位置および隣接する鉄筋との間隔を決定するように注意する.
つまり
梁主筋の接手を端部に設けてはイケない理由とは、
大地震時には梁両端の下端筋も降伏の可能性があるからです。
だから
A級継手の場合でも柱の際には設置しないというルールの存在するものもあります。
知識として単純に覚えるより「なぜ?」という理由を知っていると
いつまでも定着しやすい知識になりやすいですよ。
あっ
「覚える」と言えば、資格勉強だけど、過去にこんな記事を
書いていたので合わせて読んでみて下さいね。
↓ ↓ ↓
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