構造用アンカーボルトと建方用アンカーボルトの決定的な違いとは?

Sponsored Links
/* */

 

鉄骨造の柱の9割以上の最下部には4つの孔があいたベースプレートが
設置されていて基礎などとアンカーボルトで接続しています。

 

そして

見た目は全く同じですがアンカーボルトには構造用アンカーボルト
と建方用アンカーボルトの2種類があるのです。

 

では

「2種類の違いは一体どこにあるのでしょうか?」

 

まず

アンカーボルトの役目ですが上部の鉄骨構造と下部の鉄筋コンクリート造を
接続するのが目的で、地震力などの外力(水平力や引抜力)に対して負担します。
アンカーボルトの径などの計画によって上部構造の剛性が変わるくらいの
実は構造上重要な部分なのです。

 

そこで

上記の構造上の力を負担するのが「構造用アンカーボルト」なのです。
こちらは比較的理解しやすいと感じています。

 

すると

「建方用アンカーボルト」は一体どの様な場合に使用されるのか?

ですが、例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合であれば、
中に鉄骨が入っていますが基本的には鉄筋コンクリート造として
力が伝達されるのでアンカーボルトに構造的な力を負担させる必要がないです。

代わりに、鉄骨部分に掛かる力を鉄筋コンクリートに伝えるために
柱脚部分にスタッドが設置されていてアンカーボルトではなく柱自体で
力を伝達している仕組みになっています。

 

しかし

上記の違いは構造設計時点での考え方の違いで実際現場で施工するのに
どんな違いがあるのでしょうか?

1つ大きな違いがあるとすれば建方用アンカーボルトは構造的な力を
負担しないため、極端な話、工事監理者さんの了解が取れていれば
後施工アンカーでも良いですが、構造用アンカーボルトは接合すべき
コンクリート部分に埋め込まれていないとイケません。

 

よって

もしもアンカーボルトの精度が狂っていて許容差を超えてしまえば、
最悪1からやり直しという悲劇しか待っていないので精度に対しては
シビアに管理するように気を付けて下さいね。

 

最後に

建築工事監理指針(令和7年版上巻)」の該当部分を確認して下さい。

P.525

7.2.4 アンカーボルト

 アンカーボル トの材質の種類は通常設計図書に指定されるが、ねじ、ナット及び座金は、特別な指定がないことが多い。その場合は六角ボル トに相当するものを用いる。

 なお、完成後構造的に耐力等を期待するものを構造用アンカーボルトと称 し、建方用にのみ用いるものを建方用アンカーボルトと称する。

 構造用アンカーボル トのJIS適合品としては、JIS B 1220(構 造用転造両ねじアンカーボルトセット)と JIS B 1221(構 造用切削両ねじアンカーボルトセット)が平成22年 10月 に制定された。これらの規格は、(―社)日 本鋼構造協会が平成 12年に伸び能力を有する建築構造用アンカーボル トの規格 として、JSS Ⅱ13(建築構造用転造ねじアンカーボル ト・ナット・座金のセット)及びJSS Ⅱ 14(建築構造用切削ね じアンカーボル ト・ナット・座金のセット)を制定 したものを、内容的には基本的に大きな変更がない状態でJIS適合品としたものである。その後、平成 27年 12月 の改正により両規格がJIS B 1220(構 造用両ねじアンカーボル トセット)に統合され、溶融亜鉛めっきボル トが追加された。この規格は、構造設計上の必要に応 じて特記される場合があるので注意する。造設計上の必要に応じて特記される場合があるので注意する。

 

つまり

構造用アンカーボルトと建方用アンカーボルトの決定的な違いとは、
建物の構造的に耐力等を期待されるものが構造用アンカーボルトで
建方用アンカーボルトは鉄骨の自重が負担できれば良い程度です。

 

だから

建方用アンカーボルトは監理者さんの事前の確認を取っておく必要はありますが、
後施工アンカーでも問題ありませんが、構造用アンカーボルトを入れ忘れたり、
入れ間違ってしまった場合には、撤去再施工を行うような状態になる事が
ありますので、注意深く施工をするポイントですよ。

 

すると

アンカーボルトの精度を保つために重要になってくるのが「測量」です。
特に基礎・地中梁の段差の多い所での測量については大変ですよね。
そんな時に私が工夫したポイントを記事にしていますので確認してみて下さいね。

↓ ↓ ↓

  • コメント: 0
banner11

Sponsored Links


関連記事

  1. 型枠工事の施工計画書の本音と裏側(1)

  2. 鉄筋のスペーサーにコンクリート強度を考慮しないと断面欠損になるか?

  3. 建築現場で基礎工事時の雨上がりに確認すべき3つのこと

  4. 階段の墨出しが出来れば一人前!目からウロコの考え方とは?

  5. 施工計画書を現場で作成する本当の意味とは?作成するのは誰の為?

  6. 基礎エースのかんざし筋について注意すべき管理ポイントとは?

  7. 鉄骨工場の格付けチェック!S、H、Mグレードとは?

  8. コンクリート強度確認の大原則は非現実的だという現実とは?

  9. 試験杭で想定地盤と違っていたらどうする?支持層より高い場合(2)

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

プレゼント付無料講座開催中
kouza
仮設 syoseki
プロフィール
myImage

作者:TM


私の職業は「建築現場の現場監督」。
何だかんだで15年働いている。
その15年分のノウハウを若い現場監督さんのために、全て暴露しくよ。

なぜ、キツイ建設業界で働き続けているのか?
その秘訣がしりたいあなたは
今すぐこちらをクリック

↓ ↓ ↓

詳しいプロフィールはこちら


あっ、
ただし「社外秘」や「会社独自の技術」じゃ無いよ。
あくまで、「私個人の感じる本音」だよ。
最新記事・おすすめ記事
  1. ボルト接合の落とし穴!想像力を駆使して回避すべき…

  2. 鉄骨工事のボルトのクリアランスは○○mmしかない!?

  3. 鉄骨の工作図をチェックする時に確認すべき9つのチ…

  4. 鉄骨の工作図をチェックする時に確認すべき9つのチ…

  5. 鉄骨の工作図をチェックする時に確認すべき9つのチ…

  1. 一級建築士の資格勉強を始める時期はいつからか?と…

  2. 在宅勤務になり建築現場に配属されない時の学習方法…

  3. 最上階の梁の定着は一般解の梁と何が違うのか?

  4. TMです。新年明けましておめでとうございます。【悩…

  5. 工事写真をスマホで管理する時代が到来!Photo Manag…

人気記事ランキング
月間週間デイリー
ブログランキング
にほんブログ村 住まいブログ 現場監督へ