前々回では、設計時に設定した柱・梁の幅が現場の諸条件において
その通りにいかない場合があること。
前回では、梁配筋の配筋の後先の設定についてお伝えしました。
そこで
今回は、そもそも設計時にどのような基準で柱や梁の幅を設定しているか?
についてお伝えしていきましょう。
まず
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
柱および梁幅の最小値
a.柱および梁幅の最小値は次の項目により定める.
(1) 主筋の径と本数および帯筋・あばら筋の径
(2) 主筋の間隔
(3) かぶり厚さ
(4) 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法による先曲げ・後曲げの区別
(5) 継手の種類とその方法
(6) 取合う部材の主筋の定着b.柱および梁輻の最小値を表 3.3. 表3.4. 表3.5 に示す,表3.3 は帯筋交互フックの場合の柱幅,表3.4 はあぱら筋片側フックの場合の梁幅,表3.5はあぱら筋U字形・交互フックの場合の梁幅である.
表3.3 柱:帯筋(異形鉄筋)一交互フック・フック先曲げ(フック交互配置)(単位:mm)
主筋 帯筋 主筋本数(本) 2 3 4 5 6 D16 D10 D13
205 235
235 260
275 300
325 350
375 400
D19 D10 D13
205 235
245 265
285 310
340 360
395 415
D22 D10 D13
210 240
255 275
305 325
360 380
420 440
D25 D10 D13
D16
215 245
275
275 285
315
330 340
370
395 405
435
460 470
500
D29 D13 D16
245 280
310 325
375 395
450 470
530 545
D32 D13 D16
250 285
325 335
400 410
480 495
565 580
D35 D13 D16
255 285
345 355
430 440
520 530
615 625
D38 D16 290 370 460 560 660 D41 D16 *300 *395 *495 *605 *710
主筋 帯筋 主筋本数(本) 7 8 9 10 D16 D10 D13
425 450
475 500
525 550
575 600
D19 D10 D13
445 470
500 520
550 575
605 625
D22 D10 D13
480 500
535 555
595 615
650 670
D25 D10 D13
D16
530 4540
570
595 605
635
660 670
700
725 735
765
D29 D13 D16
605 625
685 700
760 780
835 855
D32 D13 D16
650 660
735 745
820 830
900 915
D35 D13 D16
710 720
800 810
895 905
985 995
D38 D16 760 860 960 1060 D41 D16 *820 *925 *1035 *1145 [ 注 ]
(1)帯筋の形状は図のようにし,末端部折曲げは交互に異なる隅を折り曲げる.
(2)帯筋が9φ,13φ,16φの場合には ,それぞれD10, D13, D16の表を準用する.
(3)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数個に20mm を加える.
片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は表の数値に10mmを加える.(4)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.(5)*印のかぷり厚さは,主筋から主筋の呼び名の数値の1.5倍で決まる.
表3.4 梁:あばら筋(異形鉄筋)一片隅フック・フック先曲げ(単位:mm)
m)
主筋 帯筋 主筋本数(本) 2 3 4 5 6 D16 D10 D13
195 210
235 250
285 300
335 350
385 400
D19 D10 D13
195 215
240 255
295 310
345 360
400 415
D22 D10 D13
200 220
250 265
310 325
365 380
425 440
D25 D10 D13
D16
210 225
245
265 280
300
330 350
365
400 415
435
465 480
500
D29 D10 D13
D16
220 235
255
290 305
320
365 380
395
440 460
475
520 535
550
D32 D13 D16
245 260
320 335
400 420
485 500
570 585
D35 D13 D16
255 270
335 350
430 445
520 540
615 630
D38 D13 D16
*265 275
*355 365
*455 465
*555 565
*655 665
D41 D16 *295 *390 *500 *605 *715
主筋 帯筋 主筋本数(本) 7 8 9 10 D16 D10 D13
435 450
485 500
535 550
585 600
D19 D10 D13
450 470
500 520
560 575
610 625
D22 D10 D13
480 500
540 555
600 615
655 670
D25 D10 D13
D16
530 545
565
595 610
630
660 680
695
730 745
765
D29 D10 D13
D16
595 610
630
675 690
705
750 765
780
825 845
860
D32 D13 D16
655 670
740 755
820 840
905 920
D35 D13 D16
710 725
800 815
895 910
985 1005
D38 D13 D16
*755 765
*855 865
*955 965
*1055 1065
D41 D16 *820 *930 *1035 *1145 [ 注 ]
(1)あばら筋の形状は図のようにし,末端部折曲げは1隅とする.
(2)あばら筋が9φ,13φ,16φの場合には,それぞれD10,D13,D16の表を準用する.
(3)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に20mmを 加える.
片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に10mmを加える.(4)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.(5)*印のかぶり厚さは,主筋から主筋の呼び名の数値の1.5倍で決まる.
表3.5 梁:あばら筋(異形鉄筋)①U字形・フック先曲げ②交互フック・フック先曲げ(フック交互配置)(単位:mm)
主筋 帯筋 主筋本数(本) 2 3 4 5 6 D16 D10 D13
210 245
245 260
285 300
335 350
385 400
D19 D10 D13
210 245
250 265
395 310
345 360
400 415
D22 D10 D13
210 245
260 275
310 325
365 380
425 440
D25 D10 D13
D16
215 250
285
275 290
315
330 350
370
400 415
435
465 480
500
D29 D10 D13
D16
215 250
285
300 315
330
365 380
395
440 460
475
520 535
550
D32 D13 D16
250 285
330 345
400 420
485 500
570 585
D35 D13 D16
255 290
345 360
430 445
520 540
615 630
D38 D13 D16
*260 290
*365 375
*455 465
*555 565
*655 665
D41 D16 *300 *400 *495 *605 *715
主筋 帯筋 主筋本数(本) 7 8 9 10 D16 D10 D13
435 450
485 500
535 550
585 600
D19 D10 D13
450 470
505 520
560 575
610 625
D22 D10 D13
480 500
540 555
600 615
655 670
D25 D10 D13
D16
530 545
570
595 610
635
660 680
700
730 745
765
D29 D10 D13
D16
595 610
630
675 690
705
750 765
780
825 845
860
D32 D13 D16
655 670
740 755
820 840
905 920
D35 D13 D16
710 725
800 815
895 910
985 1005
D38 D13 D16
*755 765
*855 865
*955 965
*1055 1065
D41 D16 *820 *930 *1035 *1145 [ 注 ]
(1)あばら筋の形状は図のようする.
(2)U字形のあばら筋を用いる場合はキャップタイとの組合せとなり,スラブの取り付く側のフックは90°フックとできる.
(3)あばら筋が9φ,13φ,16φの場合には,それぞれD10,D13,D16の表を準用する.
(4)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に20mmを加える.片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に10mmを加える.
(5)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.(6)*印のかぶり厚さは,主筋からの呼び名の数値の1.5倍で決まる.
先程の(1)~(6)を基準にして柱や梁の断面寸法が決定していきます。
基本的には、過密な配筋になっていなければ上記の内容から決定した
断面寸法でほぼ問題ないでしょう。
ちなみに
(1)で柱や梁の鉄筋部分の断面方向の必要寸法を求めます。
(2)で鉄筋間に必要な「あき」の寸法を求めます。
(3)で鉄筋の外部(端部)に必要な寸法を求めます。
(1)~(3)については、鉄筋の径と本数が決定すれば自動的に
求められる数値なので、機械的に求めてしまえば良いです。
そして
(4)~(6)については、先程の数値を調整する必要があるかを
確認する条件となっています。
(4)は 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法によって
先ほど求めた数値を調整していきます。
(5)は、以前に書いた記事を参照して下さい。
(6)については、機械的に計算するというよりは部位ごとに
ある程度確認する必要があると感じています。
なぜなら
取合う部材の主筋の定着については今後記事にしますが、
それだけでなく取合う部材の位置関係による主筋の配置状況、
端部のアンカーの状況、端部の定着板などの使用の可否など
によって、実際に納まり詳細図を書いた場合には施工が不可能な
状態になっていることもあります。
実際には
構造設計の時点では、9割以上はそこまで深く検討をしてないので、
実際の細かい部分の納まりについては現場で検討したほうが良いです。
もちろん、全ての部分を検討するのではなく鉄筋が過密な場所や
アンカーが多い隅部などを検討すると効果的ですよ。
つまり
設計時において、柱・梁の幅を決定するための要素は以下の
6つの項目によって基本的には定められます。
(1) 主筋の径と本数および帯筋・あばら筋の径
(2) 主筋の間隔
(3) かぶり厚さ
(4) 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法による先曲げ・後曲げの区別
(5) 継手の種類とその方法
(6) 取合う部材の主筋の定着
一般的には、主筋を目一杯押し込んだような配筋でなければ
設計図の通りに納まるはずです。
しかし
取合う部材の位置や朱筋の本数などで設計通りに納まらない
という場合もあるので過密な部分や隅部などは納まり詳細図を
作成して事前に確認しておきましょうね。
鉄筋の納まり詳細図についてはこちらの記事も参考にして下さいね。
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