柱・梁の断面算定の考え方と鉄筋の納まりの実態との差とは?(3)

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前々回では、設計時に設定した柱・梁の幅が現場の諸条件において
その通りにいかない場合があること。
前回では、梁配筋の配筋の後先の設定についてお伝えしました。

 

そこで

今回は、そもそも設計時にどのような基準で柱や梁の幅を設定しているか?
についてお伝えしていきましょう。

 

まず

鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。

 

柱および梁幅の最小値

a.柱および梁幅の最小値は次の項目により定める.
(1) 主筋の径と本数および帯筋・あばら筋の径
(2) 主筋の間隔
(3) かぶり厚さ
(4) 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法による先曲げ・後曲げの区別
(5) 継手の種類とその方法
(6) 取合う部材の主筋の定着

b.柱および梁輻の最小値を表 3.3. 表3.4. 表3.5 に示す,表3.3 は帯筋交互フックの場合の柱幅,表3.4 はあぱら筋片側フックの場合の梁幅,表3.5はあぱら筋U字形・交互フックの場合の梁幅である.

表3.3 柱:帯筋(異形鉄筋)一交互フック・フック先曲げ(フック交互配置)(単位:mm)

主筋 帯筋 主筋本数(本)
2 3 4 5 6
D16 D10

D13

205

235

235

260

275

300

325

350

375

400

D19 D10

D13

205

235

245

265

285

310

340

360

395

415

D22 D10

D13

210

240

255

275

305

325

360

380

420

440

D25 D10

D13

D16

215

245

275

275

285

315

330

340

370

395

405

435

460

470

500

D29 D13

D16

245

280

310

325

375

395

450

470

530

545

D32 D13

D16

250

285

325

335

400

410

480

495

565

580

D35 D13

D16

255

285

345

355

430

440

520

530

615

625

D38 D16 290 370 460 560 660
D41 D16 *300 *395 *495 *605 *710

 

主筋 帯筋 主筋本数(本)
7 8 9 10
D16 D10

D13

425

450

475

500

525

550

575

600

D19 D10

D13

445

470

500

520

550

575

605

625

D22 D10

D13

480

500

535

555

595

615

650

670

D25 D10

D13

D16

530

4540

570

595

605

635

660

670

700

725

735

765

D29 D13

D16

605

625

685

700

760

780

835

855

D32 D13

D16

650

660

735

745

820

830

900

915

D35 D13

D16

710

720

800

810

895

905

985

995

D38 D16 760 860 960 1060
D41 D16 *820 *925 *1035 *1145

[ 注 ]

(1)帯筋の形状は図のようにし,末端部折曲げは交互に異なる隅を折り曲げる.

(2)帯筋が9φ,13φ,16φの場合には ,それぞれD10, D13, D16の表を準用する.

(3)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数個に20mm を加える.
片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は表の数値に10mmを加える.

(4)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.

(5)*印のかぷり厚さは,主筋から主筋の呼び名の数値の1.5倍で決まる.

 

表3.4 梁:あばら筋(異形鉄筋)一片隅フック・フック先曲げ(単位:mm)

m)

主筋 帯筋 主筋本数(本)
2 3 4 5 6
D16 D10

D13

195

210

235

250

285

300

335

350

385

400

D19 D10

D13

195

215

240

255

295

310

345

360

400

415

D22 D10

D13

200

220

250

265

310

325

365

380

425

440

D25 D10

D13

D16

210

225

245

265

280

300

330

350

365

400

415

435

465

480

500

D29 D10

D13

D16

220

235

255

290

305

320

365

380

395

440

460

475

520

535

550

D32 D13

D16

245

260

320

335

400

420

485

500

570

585

D35 D13

D16

255

270

335

350

430

445

520

540

615

630

D38 D13

D16

*265

275

*355

365

*455

465

*555

565

*655

665

D41 D16 *295 *390 *500 *605 *715

 

主筋 帯筋 主筋本数(本)
7 8 9 10
D16 D10

D13

435

450

485

500

535

550

585

600

D19 D10

D13

450

470

500

520

560

575

610

625

D22 D10

D13

480

500

540

555

600

615

655

670

D25 D10

D13

D16

530

545

565

595

610

630

660

680

695

730

745

765

D29 D10

D13

D16

595

610

630

675

690

705

750

765

780

825

845

860

D32 D13

D16

655

670

740

755

820

840

905

920

D35 D13

D16

710

725

800

815

895

910

985

1005

D38 D13

D16

*755

765

*855

865

*955

965

*1055

1065

D41 D16 *820 *930 *1035 *1145

[ 注 ]

(1)あばら筋の形状は図のようにし,末端部折曲げは1隅とする.

(2)あばら筋が9φ,13φ,16φの場合には,それぞれD10,D13,D16の表を準用する.

(3)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に20mmを 加える.
片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に10mmを加える.

(4)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.

(5)*印のかぶり厚さは,主筋から主筋の呼び名の数値の1.5倍で決まる.

 

表3.5  梁:あばら筋(異形鉄筋)①U字形・フック先曲げ②交互フック・フック先曲げ(フック交互配置)(単位:mm)

主筋 帯筋 主筋本数(本)
2 3 4 5 6
D16 D10

D13

210

245

245

260

285

300

335

350

385

400

D19 D10

D13

210

245

250

265

395

310

345

360

400

415

D22 D10

D13

210

245

260

275

310

325

365

380

425

440

D25 D10

D13

D16

215

250

285

275

290

315

330

350

370

400

415

435

465

480

500

D29 D10

D13

D16

215

250

285

300

315

330

365

380

395

440

460

475

520

535

550

D32 D13

D16

250

285

330

345

400

420

485

500

570

585

D35 D13

D16

255

290

345

360

430

445

520

540

615

630

D38 D13

D16

*260

290

*365

375

*455

465

*555

565

*655

665

D41 D16 *300 *400 *495 *605 *715

 

主筋 帯筋 主筋本数(本)
7 8 9 10
D16 D10

D13

435

450

485

500

535

550

585

600

D19 D10

D13

450

470

505

520

560

575

610

625

D22 D10

D13

480

500

540

555

600

615

655

670

D25 D10

D13

D16

530

545

570

595

610

635

660

680

700

730

745

765

D29 D10

D13

D16

595

610

630

675

690

705

750

765

780

825

845

860

D32 D13

D16

655

670

740

755

820

840

905

920

D35 D13

D16

710

725

800

815

895

910

985

1005

D38 D13

D16

*755

765

*855

865

*955

965

*1055

1065

D41 D16 *820 *930 *1035 *1145

[ 注 ]

(1)あばら筋の形状は図のようする.

(2)U字形のあばら筋を用いる場合はキャップタイとの組合せとなり,スラブの取り付く側のフックは90°フックとできる.

(3)あばら筋が9φ,13φ,16φの場合には,それぞれD10,D13,D16の表を準用する.

(4)両側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に20mmを加える.片側が屋外で耐久性上有効な仕上げのない場合は,表の数値に10mmを加える.

(5)両側が土に接する場合は,表の数値に20mmを加える.
片側が土に接する場合は,表の数値に10mmを加える.

(6)*印のかぶり厚さは,主筋からの呼び名の数値の1.5倍で決まる.

 

先程の(1)~(6)を基準にして柱や梁の断面寸法が決定していきます。
基本的には、過密な配筋になっていなければ上記の内容から決定した
断面寸法でほぼ問題ないでしょう。

 

ちなみに

(1)で柱や梁の鉄筋部分の断面方向の必要寸法を求めます。
(2)で鉄筋間に必要な「あき」の寸法を求めます。
(3)で鉄筋の外部(端部)に必要な寸法を求めます。

(1)~(3)については、鉄筋の径と本数が決定すれば自動的に
求められる数値なので、機械的に求めてしまえば良いです。

 

そして

(4)~(6)については、先程の数値を調整する必要があるかを
確認する条件となっています。

(4)は 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法によって
先ほど求めた数値を調整していきます。

(5)は、以前に書いた記事を参照して下さい。

(6)については、機械的に計算するというよりは部位ごとに
ある程度確認する必要があると感じています。

 

なぜなら

取合う部材の主筋の定着については今後記事にしますが、
それだけでなく取合う部材の位置関係による主筋の配置状況、
端部のアンカーの状況、端部の定着板などの使用の可否など
によって、実際に納まり詳細図を書いた場合には施工が不可能な
状態になっていることもあります。

 

実際には

構造設計の時点では、9割以上はそこまで深く検討をしてないので、
実際の細かい部分の納まりについては現場で検討したほうが良いです。

もちろん、全ての部分を検討するのではなく鉄筋が過密な場所や
アンカーが多い隅部などを検討すると効果的ですよ。

 

つまり

設計時において、柱・梁の幅を決定するための要素は以下の
6つの項目によって基本的には定められます。

(1) 主筋の径と本数および帯筋・あばら筋の径
(2) 主筋の間隔
(3) かぶり厚さ
(4) 帯筋・あばら筋のフックの有無および施工方法による先曲げ・後曲げの区別
(5) 継手の種類とその方法
(6) 取合う部材の主筋の定着

一般的には、主筋を目一杯押し込んだような配筋でなければ
設計図の通りに納まるはずです。

 

しかし

取合う部材の位置や朱筋の本数などで設計通りに納まらない
という場合もあるので過密な部分や隅部などは納まり詳細図を
作成して事前に確認しておきましょうね。

鉄筋の納まり詳細図についてはこちらの記事も参考にして下さいね。

↓  ↓  ↓

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