コンクリートの打設方法はさまざま、ポンプ車以外で打設する時とは?

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建築現場で、鉄筋コンクリート造などの現場でのコンクリートの打設方法は
「コンクリートポンプ車」によるものが一般的です。

 

なぜなら

1時間当たりの打設量は現実的には20~50m3くらいと多く、
一般的な建物であれば基礎から屋上まで、配管を継ぎ足していけば
打設することが出来るからです。

 

しかし

コンクリートの打設方法はコンクリートポンプ車以外にもあります。
建築工事監理指針(令和元年版上巻) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]
で一覧があるので確認してみましょう。

P.409

6.6.1 工事現場内運搬

(1) 運搬用機器は、次による。

(ア) 工事現場内の運搬には、コンクリートポンプを用いる方法が一般的であるが、運搬距離が短い場合や時間当たりの運搬量が少ない場合にはバケット、シュート、手押し車等が用いられる。運搬機器は、運搬中におけるコンクリートの品質変化が少なく、打込み時点で所要の品質のコンクリートが得られることを基準に選定することが必要である。各種運搬機器の概要を 表6.6.1 に示す。

 

表 6.6.1 コンクリートの運搬機器の概要(JASS 5 より)

運搬機器 運搬方向 可能な運搬距離(m) 標準
運搬量
動力 主な用途 スランプの範囲(cm) 備 考
コンクリートポンプ 水平
垂直
~500
~200
20~70(m3/h) 内燃機関電動機 一般・長距離・高所 8~21 圧送負荷による機種選定、ディストリビュータあり
コンクリートバケット 鉛直
水平
~100
~ 30
15~20(m3/h) クレーン使用 一般・高層RC・スリップフォーム工法 8~21
カート 水平 10~60 0.05~0.1(m3/台) 人力 少量運搬・水平専用 12~21 桟橋必要
ベルトコンベア 水平
やや勾配
5~100 5~20(m3/h) 電動 水平専用 5~15 分離傾向あり、ディストリビュータあり
シュート 鉛直
斜め
~20
~ 5
10~50(m3/h) 重力 高落差・場所打ち杭 12~21 分離傾向あり、ディストリビュータあり

 

バケット、手押し車等及びシュートを用いる場合には、次のような点についての配慮が必要である。

 

(a) バケットを用いる場合

① 下部からコンクリートを排出する形式のバケットを用いる場合は、なるべく排出口が底の中央部のあるものとする。

② コンクリートをあけ移しする形式のバケットを用い、コンクリートを均質、かつ、容易に排出できるものとする。

 

(b) 手押し車等を用いる場合

① 運搬中にコンクリートの材料が分離したり、受け桝から漏出することなどのないようにする。

② 運搬中に分離を認めた場合は、練り直し、コンクリートが均質になるようにする。

 

(c) シュートを用いる場合

① シュートは、コンクリートの分離や漏れを生じることなく、滑らかに流れる構造のものとする。

② シュートは、原則として、縦形フレキシブルシュートとする。ただし、やむを得ない場合は、①を満たすことを碓認して、傾斜形シュートを用いることができる。

③ 高所からコンクリートを流下させる場合は、縦形フレキシブルシュートを用いることとし、その投入口と排出口との水平方向の距離は、垂直方向の高さの 1/2 以下とする。

④ 傾斜形シュートを使用する場合は、次による。

1) 傾斜は、 4/10 ~ 7/10 とする。
2) シュート の排出口には、長さ 600mm 以上の漏斗管を付ける。

(イ) 運搬用機器は、事前に清掃しておき、付着しているコンクリート塊や油等がコンクリートに混入しないようにする。また、動力利用の機械は、途中で、故障すると計画どおりの施工ができなくなるので、十分に整備・点検をしておく必要がある。

 

ここで

あなたは自分の中で「コンクリートポンプ車」で打設しようと
考えているのに所長から

「次の打設はシュートで打つぞ」

と言われたりしたことは有りませんか?「えっ、何で?」と戸惑いながらも
「所長が言うから仕方ない」と作業員さんにシュートで打設して貰います。

 

ちなみに

同じような場面を経験している私の感想からすると、

「シュートでの打設は想像以上に効率が悪い」

 

例えば

コンクリートポンプ車で打設するのに15分で終わるような状況で、
シュートで打設すると60分かかる位のイメージです。
当然ながら、作業員さんから

「何でシュートで打設するん?」

と不満がタラタラと聞こえて来ることは確実でしょう。
あなたは所長と作業員さんの板挟み状態になってしまうのです。

 

では

「なぜ所長はコンクリートポンプ車ではなくシュートで打設したのか?」

と言う理由は、様々あるとは感じますが単純に
「コンクリートポンプ車のお金をケチッたから」が多いです。
コンクリートポンプ車で打設すると「基本料金」が掛かるのと同時に、
打設数量に対しての「圧送料」も発生しますが、シュートで打設すると
コンクリートの圧送に関する費用が「タダ」だからです。

 

だから

大断面の基礎だけを打設するような場合で、近くまで生コン車が
寄り付ける場合は「シュート打ち」が選択される事もありますよ。

 

つまり

コンクリートの打設方法は様々で一般的にはコンクリートポンプ車で打設するが、
運搬距離が短い場合や時間当たりの運搬量が少ない場合にはシュート、
手押し車等が用いられ、コンクリートポンプ車が届かない高層部はバケットで
コンクリートを打設します。

 

しかし

一般的な建物で大抵の場合は、コンクリートポンプ車以外で打設する場合は、
コンクリートポンプ車の料金をケチって浮かせたい場合が多いです。
数万円の為に、みんなが汗水たらして打設しているのです。

でも、道具に費用をかけるのか?人工に費用をかけるのか?
と言えば、私は道具にお金をかける派です。
理由はこちらで書いているので是非読んでみて下さいね。

↓ ↓ ↓

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