前回は、場所打ちコンクリート杭の品質上のポイントとして
「杭先端及び周辺地盤の緩み」についてお伝えしたが、
今回は残りの項目についてお伝えしていこう。
(2) 孔壁崩壊の懸念(安定液及び水頭庄の管理)
場所打ちコンクリート杭の施工工程としては、掘削を行った後に
コンクリートを打設するのだが、もしも、掘削をした時に杭穴が
崩壊してしまっていたのであれば、当然ながら期待通りの杭の
築造が出来ないのは言うまでも無いよね。
しかし
地下数m~数十mまで掘削していく上で、当然どこかの深度で
地下水が湧き出てくるラインがあるだろうし、砂場をイメージして
頂けば分かるとは感じるが、砂場で作った山に水が大量に掛かると
砂の山が崩壊するのと同じで、掘削した穴も崩壊の一途をたどる。
そこで
杭穴の崩壊を防ぐために、ベントナイト溶液など「安定液」と呼ばれる
液体を掘削途中の杭穴へ浸すことにより杭穴の崩壊を防ぐのだ。
具体的には、別の記事で詳しく紹介しようね。
(3) コンクリートの打込み管理ミスによる品質の低下
予定通りに掘削が完了したらいよいよコンクリートの打設だね。
ここで
コンクリートの打設についてミスをしてしまうと、
場所打ちコンクリート杭として所定の強度が得られない。
具体的には
- 生コンの打設ピッチをプラントと十分に確認すること。
- コンクリートの打設後の高さを確認すること。
- コンクリートの打設高さに応じて確認してトレミー管を管理すること。
この中で特に重要なのは、トレミー管の埋設深さである。
コンクリートが分離せず、かつ不純物と混ざらないためには
トレミー管と呼ばれるコンクリートの打設に用いる縦の配管が
打設中のコンクリートに2m以上埋まっていないとイケないから。
だから
生コンの打設量から現在の想定打設高さを計算して、
検尺によって実際の高さを確認することで品質の良い
コンクリートを打設することが出来る。
(4) スライム沈積による支持力の低下
前項で、品質の良いコンクリートの打設方法を簡単に説明したが
コンクリートの打設前に、管理すべきポイントがある。
それが
「スライムの除去」である。
スライムと言ってもドラゴンクエストのモンスターではなく、
杭孔を掘削後に、杭孔の最下部に沈殿する「土砂などの不純物」
のことである。
なぜ、スライムの除去が大切か?というと、場所打ちコンクリート杭の
コンクリートは、水よりも安定液よりも比重が一番大きい。
よって
結果としてコンクリートが一番下に沈むので、杭のコンクリートは
最下部から徐々に打ち上げて行くのだが、最下部にスライム(不純物)が
貯まっていると、コンクリートを打設する場合に、スライム(不純物)と
コンクリートが混ざってしまうために、良質なコンクリートに成らないから。
だから
掘削後に1次スライム処理、コンクリートの打設前に2次スライム処理を
行って良質なコンクリートを打設することが大切。
つまり
場所打ちコンクリート杭で品質上問題になるポイントとは
- 先端及び周辺地盤の緩み
- 孔壁崩壊の懸念(安定液及び水頭庄の管理)
- コンクリートの打込み管理ミスによる品質の低下
- スライム沈積による支持力の低下
の4つであると建築工事監理指針には記載してある。
これらの4つの項目の内いくつかは今後記事として
取り上げて行こうと考えているよ。
更に
品質管理についてはこちらの記事も合わせて読むと効果的だよ。
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