「鉄骨の錆止め塗装が1回塗りでも、2回塗りでも別にいいじゃん。」
とあなたは、心の底のどこかで考えていませんか?
確かに
現場に搬入される鉄骨に、錆止め塗装がしていなかったら問題だけど
グレーや赤茶色で塗られているんだったら、「塗って無いよりマシ」だし
見た目じゃ分からないから良いんじゃないの?
と思う気持ちは分からなくでもありません。人間以外と見た目がそんなに
違わなければ気にならない生き物だと、私自身は正直感じています。
でも
1回塗りと2回塗りで確実に違う点が「塗り厚さ(膜厚)」です。
他にも違う点はあると思いますが、同じように1回塗るのと、2回塗るのでは、
単純計算で2倍塗料の厚みが違います。今回のお題は「錆止め塗料」なので
色が1回で綺麗に濡れるから別に良いという問題ではなく、鉄骨自体の
錆が発生しないように塗料を塗るので、品質的な観点から2回塗ることが
仕様書に記載されているのです。
なので
工場検査で鉄骨に塗装がしてあれば膜厚が規定以上であるという
検査を行って、記録に残しておく必要があります。
そして
現場でも、きちんと2回錆止め塗料を塗っていますよ。という管理と
記録を工程写真などで残しておくことをオススメします。
ボルトのタッチアップ等でも、建築工事監理指針には、
接合部の未塗装部分は、汚れ、付着物、スパッター等を除去した後、錆止め塗料を2回塗る。
と記載されているので、2回塗っておかなければいけません。
でも、冒頭に書いた通り、見た目が分からなければ、1回塗りのまま
2回目を忘れてしまいそうになるので、少なくとも記録としては
残しておくことをオススメしますよ。
最後に
「公共建築工事標準仕様書 建築工事編(令和7年版) [ 国土交通省大臣官房官庁営繕部 ]」
の該当部分を確認して下さい。
P.110
7.8.3 工事現場塗装
18.3.3[錆止め塗料塗り](2)による錆止め塗料塗りの工事現場塗装は、次による。
(ア) 工事現場で組み立てた接合部の素地ごしらえは、表18.2.2[鉄鋼面の素地ごしらえ]によるC種とし、工場塗装と同種の錆止め塗料により塗装する。
(イ) 現場搬入後に塗膜が損傷した部分は、活膜を残して除去し、錆止め塗料で補修する。
(ウ) 錆が生じた部分は、旧塗膜を除去し、表18.2.2 によるC種の素地ごしらえを行ったうえ、錆止め塗料で補修する。
P330
表 18.2.2 鉄鋼面の素地ごしらえ 工程 種別 面の処理 A種(注) B種(注) C種 1 汚れ、付着物除去 ○ ─ ○ スクレーパー、ワイヤブラシ等で除去 2 油類除去 ○ ─ ─ 弱アルカリ性脱脂剤で加熱処理後、湯又は水洗い ─ ○ ○ 溶剤ぶき 3 錆落し ○ ─ ─ 酸漬け、中和及び湯洗いにより除去 ─ ○ ─ ブラスト法により除去 ─ ─ ○ ディスクサンダー、スクレーパー、ワイヤブラシ、研磨紙 P120~220等で除去 4 化成皮膜処理 ○ ─ ─ りん酸塩処理後、水洗い乾燥 (注) A種及びB種は、製作工場で行うものとする。
P.335
18.3.2 塗料種別
(1)鉄鋼面の錆止め塗料の種別は、表 18.3.1とし、次による。
(ア) 4節の場合は、As種とする。
(イ) 7節の場合は、1回目の錆止め塗料塗りはCs種、2・3回目の錆止め塗料塗りはDs種とする。
(ウ) 8節の場合はAs種又はBs種 とし、適用は特記による。特記がなければ、Bs種とする。
(エ) 錆止め塗装のままとする場合は、As種とする。
表 18.3.1 鉄鋼面錆止め塗料の種別 種別 錆止め塗料その他 塗付け量
(㎏/㎡)標準膜厚
(μm)適用 規格番号 規格名称 種類 As種 JIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント 1種 0.10 30 屋外、屋内 Bs種 次のいずれかによる。 ─ ─ 屋内 JASS 18
M-111水系さび止めペイント ─ 0.11 30 JIS K 5674 鉛・クロムフリーさび止めペイント 2種 0.11 30 Cs種 JIS K 5552 ジンクリッチプライマー 2種 0.14 15 ― Ds種 JIS K 5551 構造物用さび止めペイント A種 0.14 30 ― (注)
1. JIS K 5674に基づき、1種は溶剤系、2種は水系である。
2. JASS 18 M-111は、日本建築学会材料規格である。
18.3.2 亜鉛めっき鋼面錆止め塗料の種別 種別 錆止め塗料その他 塗付け量
(㎏/㎡)標準膜厚
(μm)適用 規格番号 規格名称 Az種 JPMS 28 一液形変性エポキシ樹脂
さび止めペイント
0.10 30 屋外、
屋内Bz種 JASS 18
M-109変性エポキシ樹脂プライマー
(変性エポキシ樹脂プライマーおよび弱溶剤系変性エポキシ樹脂プライマー)0.14 40 屋外、
屋内Cz種 JASS 18
M-111水系さび止めペイント 0.11 30 屋内 (注) JPMS 28は日本塗料工業会規格、JASS 18 M-109及び M-111は日本建築学会材料規格である。
P.336
18.3.3 錆止め塗料塗り
(1) 鉄鋼面の錆止め塗料塗 りは、次による。
(ア) 4節、8節及び錆止め塗装のままの場合 は表 18.3.3により、種別は特記による。特記がなければ、見え掛り部分はA種とし、見え隠れ部分はB種とする。
(イ) 7節の場合は、表 18.3.4による。
(2) 鉄骨等の鉄鋼面の錆止め塗料塗り工法は、次による。
(ア) 節、8節及び錆止め塗装のままの場合は、次による。
(a) 2回目を鉄骨等の製作工場で塗る場合は、次による。
① 1回目の錆止め塗料塗りは、製作工場において組立後に行う。ただし、組立後、塗装が困難となる部分は、組立前に錆止め塗料を2回塗る。
② 2回目の錆止め塗料塗りは、汚れ、付着物等を除去した後、塗膜の損傷部分の補修塗 りを行い、乾燥後に塗る。
③ 工事現場での建て方及び接合完了後、塗膜の損傷部分は、汚れ、付着物等を除去した後、錆止め塗料で補修する。また、接合部の未塗装部分は、汚れ、付着物、スパッター等を除去した後、錆止め塗料を2回塗る。(b)2回 目を工事現場で塗る場合は、次による。
① 1回目の錆止め塗料塗りは、(a)①による。
② 2回目の錆止め塗料塗りは、工事現場での建て方及び接合完了後、塗膜の損傷部分は、汚れ、付着物等を除去した後、錆止め塗料で補修し、乾燥後に塗る。また、接合部の未塗装部分は、(a)③による。(イ) 7節の場合は、次による。
(a)錆止め塗料塗りは、鉄骨等の製作工場において組立後に行う。ただし、組立後、塗装困難となる部分は、組立前に行う。
(b)鉄骨等の製作工場で溶接した箇所は、ディスクサンダー又は研磨紙P120程度で素地面が現れるまで錆等を除去し、構造物用さび止めペイント (表 18.3.1の Ds種)を 3回塗る。
(c)現場組立後、現場溶接部及び組立中の錆止め塗料塗りの損傷部分は、デイスクサンダー又は研磨紙P120程度で素地面が現れるまで錆等を除去し、JASS 18 M-109に 基づく錆止め塗料(表 18.3.2の Bz種)を 3回塗る。
表 18.3.3 鉄鋼面錆止め塗料塗り 工程 種別 塗り工法その他 A種 B種 素地ごしらえ ○ (注) 18.2.3による。 1 錆止め塗料塗り
(下塗り1回目)○ ○ 18.3.2(1)による。 2 研磨紙ずり ○ ─ 研磨紙 P120~180 3 錆止め塗料塗り
(下塗り2回目)○ ○ 工程1に同じ。 (注) 素地ごしらえの種別は、塗り工法その他の欄による。
つまり
鉄骨への錆止め塗装は2回塗りが基本です。
なので
鉄骨工場へ検査に行く場合に、決められた塗り回数の確認と
塗装の膜厚の確認も忘れずに行ってください。
さらに
ボルトの周囲など、現場で錆止め塗装を実施する場合も、
塗り回数などをきちんと工程写真として残しておくことは
品質管理として重要です。
でも
工事写真って、面倒くさいのに一体誰のために撮影するんだろう?
答えられなかったあなたにはこちらがおススメです。
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