鉄筋のかぶり厚さというのは一般的には外部面からの距離をとるが
唯一といってよいほど例外的なのは基礎のベース筋のかぶり厚さです。
ちなみに
基礎のベース筋とは、基礎の配筋のうち下部に配置される
XY方向に配筋される鉄筋の事であり、基礎リストに上部に
配置される「はかま筋」と並列して記載されている事が多いです。
そして
先程のベース筋のかぶり厚さが他の鉄筋と同様に外部からの距離を
基準に記載されている数値と共に、杭の天端からの距離も記載されています。
実は
私も最近まで理由を知らずに深く考えずに、「そういうもの」
として疑問に持つこともなかったのです。
もしかすると
この記事を読んでいるあなたも私と同じ考えかも知れないし、
そもそも「そんな記載あったの?」と感じているかも知れないですね。
そこで
あなたも一緒に想像してみて欲しいのだけど、杭の天端からの
距離が記載されているということは、距離が小さいと不具合が
起きる可能性があるのだけど一体どんな可能性がありますか?
例えば
ヒントとしては、上部に鋼管を巻いた杭が基礎の中に杭頭が
入り込んでいるけど異種ですよね。
鋼管の無い場所打ちコンクリート杭だとしても杭と基礎じゃ
打設時期が異なるはずですよね。
更に、地下水位が地上から1mもないくらい高い場合は
埋め戻した後の基礎の状態を想像してみましょう。
すると、時間が経過するとどうなりますか?
答えは
杭の表面を伝わって基礎内に浸入してきた水分による影響で
鉄筋が錆びるのを防止するためなのです。
この答えは「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」
に記載されているので合わせて確認しておきましょう。
耐久性・施工条件によるかぶり厚さの特例を次に示す.
i) 杭基礎では, 9 章に示すように杭頭を捨コンクリートを貫いて基礎内に納めるのが一般的である. 基礎筋( ベース筋)から杭頭まで距離が小さいと, 杭の表面に沿って上昇してきた水分が基礎筋をさびさせるおそれがある. したがって, 杭基礎の基礎筋のかぶり厚さは解説図3.3 のように杭頭からとる必要がある.
つまり
基礎のベース筋のかぶり厚さを杭頭から確保すべき理由とは、
杭を伝ってくる水分の影響による基礎のベース筋の腐食を
防ぐためです。
だから
既製コンクリート杭などで高止まりをしてしまうと、
基礎とのかぶり厚さを確保できなくなる場合があるので
基礎の鉄筋をしっかりと納めるためには、実は杭の精度管理が
非常に大切だということです。
ちなみに
杭の精度管理については過去にこんな記事も書いているので
合わせて読むと非常に効果的ですね。
↓ ↓ ↓
この記事へのコメントはありません。