鉄筋を「継ぐ」ための一般的な工法は重ね継手とガス圧接継手です。
重ね継手は比較的細い径の鉄筋の継ぎ手に用いられ、
ガス圧接継手は太い径の鉄筋に用いられます。
そして
タイトルにもある通りに鉄筋の継手には「等級」があります。
だから
あなたはタイトルを見て
「はいはい、どうせB級でしょ!」
と思いながら読んでいることでしょう。
「本当にガス圧接継手はB級なのですか?」
と問いかけたら「はい!」と自信を持って答えることが出来ますか?
確かに
鉄筋の継手には等級があり、ガス圧接継手は一般的には「B級」です。
「A級」として現場でよく採用されているのは「溶接継手」や「機械式継手」です。
では
「なぜB級グルメ級の継手が日本中で使用されているのか?」
についてですが、私の率直な感想をお伝えすると
「価格も人の手配も容易だし、何しろA級の必要性が無い」
という所でしょうか?
具体的には
A級継手を使用するケースとして一番多いのが「PC」や「先組工法」
などの様に「事前に組み立てた何か?」を「継ぐ」場合です。
B級継手では許されていない「端部」や「イモ継手(全数継手)」が
A級継手では使用出来るからなのです。
しかし
日本中で施工されている鉄筋コンクリート造の現場の中で
A級継手が必要になるケースは多くはありません。
普通に鉄筋を端から並べて梁の中央もしくは1/4の位置で
継手位置が隣り合わせにならないように継げば良いからです。
更に
職人さんの数も一番多いでしょうし、コストも手頃です。
だから
ガス圧接継手はB級でも一番普及しているのです。
あっ!そうそう。
大切なことを忘れていました。
実は
ガス圧接継手には「A級」もあるのです。
しかし
私はA級継手だからと言ってガス圧接継手を使おうとは思いません。
なぜなら
ガス圧接継手は「縮む」からです。PC部材を継ぐのに鉄筋が
「縮む」と致命的だからです。
これが、ガス圧接継手の「A級」が普及しない原因かも知れませんね。
最後に
「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説第5版 [ 日本建築学会 ]」の該当部分を確認して下さい。
iv)各級継手と,その継手の使用の可否
SA,A,B,C級綱手に応じて,建築基準法施行令第82条および告示(昭55建告第1791号)に示す計算ルート,ならびに全数継手とするか半数継手とするかにより,その継手の使用箇所が制約されている.〔解説表6.4.解説表6.5参照〕
解説表6.4 ルート1,2-1,2-2,2-3の方法または壁式構造に対する継手の種類と使用の可否
計算方法 使用箇所 SA級 A級 B級 C級 全 半 全 半 全 半 全 半 ルート1,2-1,2-2
または壁式構造a. ・大梁の中央域の主筋
・小梁の主筋及びスラブの引張鉄筋◯ ◯ ◯ ◯ △ △ △ △ b. ・柱と梁の材端域の主筋
・壁梁の主筋及び1階の耐力壁脚部の縦筋◯ ◯ ◯ ◯ △ △ ✕ △ c. ・その他の鉄筋 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ ルート2-3 a. ・大梁の中央域の主筋
・小梁の主筋及びスラブの引張鉄筋◯ ◯ ◯ ◯ △ △ △ △ b. ・柱と梁の材端域の主筋
・壁梁の主筋及び1階の耐力壁脚部の縦筋◯ ◯ ✕ ◯ ✕ ✕ ✕ ✕ c. ・その他の鉄筋 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ [注]表中の全と半はそれぞれ全数継手と半数継手を示し,○と×はそれぞれ継手の使用の可否を示す.また,△は剛性または強度が足りない分,鉄筋本数を増やすことにより使用する場合(鉄筋量を多くすれば当該継手を使用してもよい).
解説表6.5 ルート3の方法に対する継手の級と使用の可否
計算方法 使用箇所 部材種別 SA級 A級 B級 C級 全 半 全 半 全 半 全 半 ルート3
a. ・大梁の中央域の主筋
・小梁の主筋及びスラブの
引張鉄筋◯ ◯ ◯ ◯ △ △ △ △ b. ・耐震設計上,降伏ヒンジが形成される材端域の主筋及び1階の耐力壁脚部の鉄筋 FA ◯ ◯ ↓ ↓ ↓ ↓ ✕ ✕ FB ◯ ◯ ↓ ◯ ↓ ↓ ✕ ✕ FC ◯ ◯ ◯ ◯ ↓ ◯ ✕ ✕ FD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ✕ ✕ WA,WB ◯ ◯ ◯ ◯ ↓ ◯ ✕ ✕ WC,WD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ✕ ✕ c. ・上記以外の材端城の主筋 FA ◯ ◯ ◯ ◯ △ △ ✕ ✕ FB ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ ✕ ✕ FC ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ✕ ✕ FD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ✕ ✕ WA,WB ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ △ △ WC,WD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ △ △ d. ・その他の鉄筋 FA ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ △ △ FB ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ △ △ FC ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ FD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ WA,WB ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ △ ◯ WC,WD ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ [注]表中の全と半はそれぞれ全数継手と半数継手を示し,◯と✕はそれぞれ継手の使用の可否を示す.また,△は剛性または強度が足りない分,鉄筋本数を増やすことにより使用する場合(鉄筋量を多くすれば当該継手を使用してもよい)であり,↓は,◯印のついている下位の部材種別と仮想して計算してある場合には,当該継手を使用してよいことを示す.部材種別の記号,FA,FB,……,WDは昭55建告第1792号第4に示されている部材種別の記号である.
つまり
鉄筋の継手にはSA、A、B、Cの4つの等級が定められており、
一般的に良く使用されている「ガス圧接継手」はB級継手にあたります。
しかし
同じガス圧接継手においても「A級」の場合があるので、
「ガス圧接継手=B級継手」と判断できません。
また
A級継手は溶接継手や機械式継手などが多く、全数を同じ箇所で
継ぐ事が可能になるため、先組み工法やPCなどに用いられる事が多いです。
ただ
一般的には継手の等級が上がるとコストも上がっていくので
ガス圧接継手以外を採用する場合は「費用対効果」を考えましょうね。
特に
所長になる前で「現場のお金を預かっていない立場」
の時から意識しておくと成長のスピードも雲泥の差ですよ。
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